ID 6081
登録日 2008年 1月23日
タイトル
善意のツバキで景観向上へ 法面に吹き付け試験
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新聞名
東海新報
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元URL.
http://www.tohkaishimpo.com/scripts/index_main.cgi?mode=kiji_zoom&cd=nws3262
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元urltop:
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写真:
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昨年秋にかけて大船渡市内で行われた「椿の実拾い大会」で保育園児らから寄せられたツバキ実の一部が、二十五日(金)に供用開始を控えた同市末崎町内の主要地方道・大船渡広田陸前高田線の法面試験
に使用されている。ツバキを活用した法面吹き付けは過去に例がないといい、関係者は観光の名所へと誘う将来的な“ツバキロード”の形成と地域の景観向上に向け、成果に注目している。
放置されている椿の実を活用につなげようと開催している椿の実拾い大会は、計量・表彰式が昨年十一月に行われた。これまで大船渡まちづくり塾が中心となって進めていたが、前回からは市民有志による同実行委員
会が主催となっている。
ルールは身の回りに落ちている椿の実を集めてもらい、その総重量を競うもの。数人単位での団体による参加だけでなく、個人による一粒からの協力も受け付け、市内外から個人・団体合わせて十六チームが参加した
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集まったツバキの実は約百三十一キロ。一カ月以上にわたり毎日の散歩によって五十五キロを集めた甫嶺へき地保育所が優勝を飾るなど、子どもたちの参加が多かった。
例年、集めた実は椿油として加工。しかし今年は、種子、植苗として活用したいと県大船渡地方振興局土木部道路整備課から申し出があり、実行委では一部を提供。同課では殼がついたままの状態で乾燥しないように
保管してきた。
同課では、ヤブツバキは大船渡市と陸前高田市のシンボルであり、椿油といった貴重な資源にもなることから着目。道路法面に群落ができれば景観向上にもつながるため、有効利用を図ろうと今年度から吹き付け作業
の試験を行っている。
法面への試験吹き付けは二十五日に供用開始を目指して最終的な整備が進む大船渡広田陸前高田線船河原工区のうち、末崎町字石浜地内にある法面十五平方メートルで実施。振興局、実行委メンバーのほか、取り組
みに関心を寄せている市都市整備部職員も立ち合った中で、吹き付け作業がこのほど行われた。
法面緑化工事で一般的に用いられる種子の中に、提供されたヤブツバキ種子を混合し、吹き付け用の機械を使って作業。機械による吹き付けの場合、短時間で大面積の施工が可能となる。
ツバキを法面に吹き付ける取り組みは、全国的にも珍しいという。振興局だけでも年間約二万平方メートルの法面吹き付けを行っているため、試験がうまく軌道に乗った場合、各地で導入が進むことも考えられる。観光
振興や化粧品原料などとして人気が高い種子の活用など、将来的な展開にも期待が集まる。
土木部道路整備課では「コストも通常の工事と変わらないほか、根付くことによって法面崩壊防止の期待もある。今後も何回か実験してみたい」と語る。沼田京子実行委員長は「集めてくれた保育園児や振興局の協力に
よって、ツバキによる活性化への夢が膨らんだ。すぐに大きくなる植物ではないので、長い目で見守っていきたい」と話している。
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