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| るじ・冬のスポーツ
新聞名
JanJan
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元URL. 
http://www.news.janjan.jp/area/0712/0712290141/1.php 
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元urltop: 
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写真:   
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師走も押し迫ると、何かとやることが増えてせわしくなる。不思議なことに、こういうときこそ逆に森に行きたくなる。自然観察仲間と声を掛け合って、札幌郊外の野幌森林公園にでかけた 
 
 
野幌の森
<静寂な森>
 
 札幌市内はまだ雪が少ないが、野幌の森には20cmは積もっているだろうか、白一色だ。落葉した広葉樹の枝から光が差し込むが、太陽は出ていても氷点下の世界である。完全防寒のうえ、昼食の入ったリュックを背負
って背筋を伸ばして歩く 
 冬の森は静寂そのものだ。みな眠っている 
 時折シジュウカラやコゲラの鳴き声が、しーんとした森の空気を破る。葉が落ちているため見通しがきき、鳥も容易に見つけることができる。幹に穴がいくつも開いている木に出会った。 
 
 やや縦長の穴の状態からクマゲラがあけた痕だと思われる。この穴は営巣のためでなく、幹の中の虫を食べるために開けたものだ。けどなんとなくクマゲラのアパートのような感じがして面白い 
 これだけ穴が開いてる木はほとんど枯れている。いずれは倒れるだろう。枯れているから虫がいるのか、それともクマゲラが突いたから枯れたのか、どちらが先かはよくわからない 
 
 
幹に穴がいくつも開いている木
<木の価値>
 
 白い樹皮の大木がどっしりと天を突いている。ウダイカンバだ 
 材質が堅くて狂いがないため、ピアノの材料として重宝がられている木だ。周囲1mもあると1本で百万円もするという 
 同じカバノキ科のシラカンバやダテカンバが、アイスクリームの棒切れや楊枝程度にしかならないのと比べると大違いだ 
 
 
写真左:ウダイカンバ・写真右:シラカンバ
 
 林業屋にとって、大変有用なウダイカンバは真のカンバだとして「マカンバ」と呼んでいる。けど木の価値は昔のような林業の物差しだけで測れなくなってきている。癒し効果である。 
 
 材質は悪くても白い樹皮は森にアクセントを与え、人の目を楽しませてくれる。北欧ではこのような視点からシラカンバが見直されているということだ。 
 
 春先には樹液ももたらしてくれる。この樹液を特産として町おこしに活用している自治体もある。シラカンバの樹液でコーヒーを飲むと、これまたおいしい。 
 
 確かに重厚で価値の高いウダイカンバに比べ、シラカンバは軽くて中身が薄い感じは否めない。けど、肩身を狭くする必要はない。 
 
 なによりも若い女性が大好きな木だから、それなりの価値はある。 
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このページの公開日は1999年11月12日。最新更新日はです。 
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