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ID 5307
登録日 2007年 11月 9日
タイトル
少数民族村の祭りと世界観(VII) 雲南の民族と森林
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新聞名
JanJan
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元URL.
http://www.news.janjan.jp/culture/0711/0711070299/1.php
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元urltop:
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写真:
 
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 少数民族の村に隣接する村の守護神がいる龍林や神山の外側には、経済活動を営んでいる山林が広がっている。モウ(孟子の孟に力)海県曼来タイ村の長老は、この村は早くから低地に居住し、水田で稲 作を行ってきた。周囲の山林では他の民族が活動していたので、狩猟採集活動に対して関心がなく、そのため山神や狩猟神を信じていないし、祭りも行っていないと語っていた。しかし山間地域で暮らす多くの少数民族 は、これら生業の場になっている山林は、神霊や鬼が支配する世界であると信じ、狩猟採集などの経済活動に伴って様々な祭りを行っている  臨滄県モウ(孟子の孟に力)旺大寨村のタイ族は、山神ザオタンは村の東側に位置する神山の山頂にある松の巨樹としている。家畜が出産した時には無事に成長することを願い、また病気にかかった時には順調に回 復するように願って、祭司と一緒に山頂の山神樹に行って、鶏・茶・酒・線香などを供えて礼拝している。この時、山神に供えた鶏を寺院に持ち込むことを禁じている  臨滄県ラ(にくづきに昔)東村のタイ族は、村周辺の全ての山に山神がいるが、寺院の北西200mに位置する山中の雲南松樹(写真1左)が正式な山神であると考えている。祭りは毎年、農暦の正月2日に、村人たちは 各自、酒・飯・茶・鶏などの供物を持って山神樹に行き、家族の平安と家畜の無事を祈願している。また村の西方のゴンホンツーリン山にある岩の前で狩猟神サータンの祭りを行っている。1980年代以前、山で狩猟して いた時には、狩猟する前に必ず狩猟神に対して線香を焚いて成功を願い、狩猟が成功した時には獲物の頭を煮てから狩猟神を供えに行き、再び感謝の祭りを行っていた。1980年に狩猟が禁止され、狩猟しなくなった 現在、村人たちは狩猟神を家畜の成長を司る神であると考えるようになり、家畜が出産したり、病気にかかったりしたら、その都度、村人は線香を供えに行き、家畜の無事を祈願するようになった 写真1:左:臨滄県ラ(にくづきに昔)東タイ族村の山神を祀った雲南松樹。右::臨滄県南楞田ラフ族村の狩猟神を祀った竹籠(右端) モウ(孟子の孟に力)海県吉良村のブーラン族は、山神デュワナゴンと狩猟神デュワナピーを、1958年まで祭司ロンバトウが中心になって、村人全員が参加する盛大な祭りを行っていた。山神は山林の全ての動植物 を管理していると考えており、樹木の伐採、焼畑、狩猟を行う時には、その場所で必ず山神に供物を捧げねばならない。また狩猟で獲得した動物の腿を祭司に感謝の証として与え、獲物がない時にも酒1瓶を与えてい た。現在では、狩猟神に対する信仰は薄れ、村を挙げての祭りは行われなくなり、狩猟神に対しても狩猟する際に限り、個人的に供物を捧げ、狩猟の成功を願う簡単な儀式を行っている ラフ族の族称は、ラフ語で「虎を焼いて食べる人」の意味であり、これからもラフ族が狩猟を好んで行っていたことが伺える。臨滄県南楞田村のラフ族は、かつて家で死亡者があった場合でさえ、春節と新年の3・4日間 は村を挙げて盛大な狩猟活動を行っていた。現在は狩猟を行っていないが、各家屋内の一方の隅で狩猟神サンリングーを祀り、豚や牛の頭骨や卵などの供物を捧げている(写真1右) 写真2:左:臨滄県南楞田ラフ族村の楽器。右:騰冲県沙家ハ(「つちへん」に「霸」)リス族村の弓と刀 狩猟を行う前には、祭司が保管している前回の狩猟で得た最も大きな獲物の頭骨を広場に運び出し、その頭骨に対して礼拝し、煮た鶏や卵などの供物を捧げて、狩猟の成功を祈願していた。狩猟が終って村に帰ると 、村人は笛(写真2左)や太鼓を鳴らしながら全員で出迎え、祭司が選んだ男性が最も大きな獲物の首を狩り、祭司が保管していた頭骨と交換する  その後、狩猟神に狩猟の成功を感謝し、次回の狩猟の成功を願って獲物の一部を捧げ、残りを狩猟の参加者全員で均等に分配し、最初に獲物を射止めた者が頭を持ち帰る。狩猟の最中、蛇や野鼠・狼と出会った時に は、弓(写真2右)で射てはならず、必ず棒で殴り殺さねばならなかった 写真3:騰冲県沙家ハ(「つちへん」に「霸」)リス族村の神龕 騰冲県沙家ハ(「つちへん」に「霸」)村のリス族は、狩猟の後に獲物を狩猟の参加者で均等に分け、それを持ち帰った後に煮てから、その一部を椀に盛りつけて祖霊を祀った家屋の中堂にある神龕ニエディエビエ(写真 3)に供えて、祖霊に狩猟の成功を感謝している  双江県布京ワ族村では、現存していないが、かつて村の中央にある寨心の傍らにあった猪顔樹に豚の頭を掛けていた。その樹木に掛けた豚の頭が多くなると、神山(写真4)にあるガジュマルの古樹の山神樹ハデュム エイの前で祭りを行っていた。祭りの日、祭りを許された老人ダゲロンが猪顔樹の周囲に豚や鶏を集め、呪文を唱えながら礼拝し、猪顔樹の葉3枚に盛りつけた豚肉・鶏肉・酒・飯・茶・塩を樹下に石で三角形に積んで作 った祭壇に供える。祭りには老人たちだけが参加を許され、祭りが終了したら参加者で供物を食べる。また狩猟活動では、獲物は狩猟した山林内で切り分け、一部を狩猟神ムエイゴンに捧げて狩猟神を讃える呪文を唱 え、さらに山神と河神にも獲物の一部を分け与えて、無事に狩猟できたことを感謝している。狩猟の参加者は獲物を持って村に帰ると、村人は角笛を吹いて出迎え、用意しておいた卵・米・塩を獲物に供えて呪文を唱え 、狩猟の成功を感謝し、次回の狩猟の成功を祈願している。獲物は狩猟の参加者に少し多めに配り、その残りは村人全員に均等に分配し、供物と一緒に家に持ち帰る。狩猟で獲物が得られなかった時には、老人たちは 茹でた卵を狩猟参加者の家に持って行き、祭りを許された老人が卵の模様で次回狩猟に行く方向や山を決める。この占いをゾンゴンと言い、運気を整えると言う意味である。その後、山神・狩猟神・河神を讃える呪文を 唱え、大型の動物が狩猟できるように祈祷している  臨滄県南楞田ラフ族村の老人たちは、かつて狩猟を行っていた時には、食べ物の種類が豊かであり、狩猟の獲物以外にも山林で蜂の巣や山草などを採っていたと懐かしがっていた  現在、中国中央政府は退耕環林政策を推進し、樹木の伐採を禁止して森林の保護に務めている。その一方で原生林を開墾して、ゴム樹や茶樹などの経済林を植樹し、大規模な造林事業を行っている。本来、少数民族 の自然信仰と伝統的習俗は、村の周辺に広がる自然を畏敬し、自然との共存を図って祭りを行うことで自然環境の保護に貢献してきた。また少数民族が保護してきた自然環境は、各村で培われてきた伝統的生活技術、 例えば焼畑農耕や狩猟採集・漁猟などの経済活動を育み、山林からは薬草・野草などの豊かな産物を得て、自然環境に適応した生活を営んできた  雲南少数民族の伝統的文化は、豊かな自然環境、自然環境と適応した生活技術、自然神や鬼を畏敬してきた信仰習俗の3つの要素が、相互に関与しながら形成されてきたものである。したがって経済林を造林する森 林政策を実施するだけではなく、豊かな自然環境の保護、伝統的な生活技術の保存し、民族特有の信仰習俗の継承にも心がけ、これら民族独自の伝統文化を継承していくことが必要である。
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このページの公開日は1999年11月12日。最新更新日はです。

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