ID 4511
登録日 2007年 8月22日
タイトル
大塔山のブナ林復活へ 森林管理署が検討会
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新聞名
紀伊民報
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元URL.
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=130312
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元urltop:
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写真:
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田辺市新庄町の和歌山森林管理署は21日、枯死が進む田辺市と古座川町にまたがる大塔山(1122メートル)山頂付近のブナ自然林を回復させるための検討会を同署で開いた。自然保護団体や県、関係市
町の職員など約20人が参加し、シカの食害を防ぐ防護柵や乾燥を防ぐ防風ネットを設置して、苗木を植樹することなどを提案した。鶴田和男署長は「管理面などを考え、しっかりした柵を造らないといけない。予算が付
けられるように努力する」と話した。
検討会では、9年前に無断伐採されて乾燥が進み、枯死する樹木が周辺に広がっていることや、新芽が出てもシカの食害に遭って自然回復の見込みがないことなど、これまでの経緯を管理署の職員がスライドを使っ
て説明した。
保全方法について、参加者からは山頂付近は非常に風が強いことやナイロン製のネットではシカがかみ切ったり、体当たりしたりして侵入してしまうことなどの問題点が挙げられた。
植樹する場合の樹種は、大塔山周辺から比較的乾燥に強い木を選び、芝生公園のようになった所には過密に植えて薮のようにして風の侵入を防ぐ必要があるなど、さまざまな意見が出た。
山頂にケルン(登山の記念や道標としての石塚)のような石積み(高さ約2メートル)が築かれていることや伐採された樹木などがきれいに片付けられていることなどにも触れ、人為的な作用も影響しているとの指摘が
あった。石積みは、このまま放置すると大きくなることが考えられるため、撤去すべきだという意見が多く出た。
管理署職員は柵を設置した場合、登山者から「景観が悪くなったなどの苦情があるかもしれない」と懸念したが、参加者からは、本質的なことを見失わず、昔のような自然林を取り戻すため、一般の人にも啓発して知っ
てもらうことも大切との指摘があった。
管理署では検討会の内容を踏まえ、予算付けのために署内で再検討する。伐採された官行造林地部分の所有権が地元区にあるため、今後、古座川町とも協議を進めていく。
大塔山山頂のブナ林は、本州南限の絶滅危惧(きぐ)植物群として県レッドデータブックに記載されている。人工的に伐採されたブナは少なかったが、周縁から風が入り、周辺で枯死するブナの大木が増えている。無断
伐採されたのは「前の川国有林」約0・12ヘクタールと「大河奥官行造林地」約0・1ヘクタール。1998年、古座川町が登山イベントの参加者が歩きやすいよう、ハイキングコースの整備を地元区に依頼したが、区民が道
だけでなく頂上付近の見晴らしを良くするために自然林まで伐採してしまったという..