ID 4787
登録日 2007年 9月22日
タイトル
「白人の木」きっかけ、米で大規模な黒人抗議デモ
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://www.asahi.com/international/update/0921/TKY200709210297.html
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元urltop:
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写真:
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きっかけは「白人の木」と呼ばれた1本の木だった。米南部ルイジアナ州の小さな町、ジーナで20日、アフリカ系米国人(黒人)が参加する大規模なデモがあった。高校での人種差別的事件に端を発して黒人生
徒6人が逮捕され、それに対する抗議が大きく広がった。事件は、人種対立の火種が米国社会に根深く残っていることをさらけ出した。
米ルイジアナ州ジーナで20日、殺人未遂の罪などに問われている6人の少年の支援に集まった人々=AP
人口約3000人の町は、それ以上の人数のデモ隊で埋め尽くされ、学校や商店は臨時休業になった。参加者数は1万5000人以上との報道もある。デモ隊は、きっかけとなったジーナ高校の校庭に集まり、「6人を自由に
」「ブラック・パワー」と口々に叫んだ。
参加者はバスで全米から集まり、故キング牧師の息子も参加した。黒人指導者のジェシー・ジャクソン師は「政府は口をつぐんでいる。ジーナはどこにでもある」と群衆に語った。
地元紙などによると事態の流れはこうだ。
ジーナ高校の校庭には、白人生徒が集まることから「ホワイト・ツリー」(白人の木)と呼ばれる1本の木があった。昨年夏、ここに座る許可を学校に求めた黒人生徒がいた。翌日、この木に「首つり縄」がつるされている
のが見つかった。かつての白人による黒人リンチを思い起こさせる人種差別的意味がある。
首つり縄は、学校の調査で白人生徒3人の「いたずら」とされ、軽い処罰が下されたが、これが生徒の間で人種対立へと発展。昨年12月、白人のクラスメートに暴力をふるったとして6人の黒人生徒が殺人未遂の罪など
で訴追された。
地元市民団体は「人種差別による不公正な裁判だ」「昔の南部に先祖返りしたよう」と検察当局を非難。ネットでもキャンペーン活動を繰り広げ、抗議の輪が全米に広がった。全米有色人地位向上協会(NAACP)などが
デモに協力。この6人は「ジーナ6」と呼ばれ、事件の象徴的存在となった。
同州の隣のアーカンソー州で人種共学の黒人生徒を守るために連邦軍が出動したリトルロック事件から、今月でちょうど50年。ジーナでの出来事は、人種対立がまだ過去の歴史ではないことを全米に知らしめた。
NAACPのジュリアン・ボンド会長は「このデモは、人種対立という恥が今も続いていることに対する米国全体の怒りだ」と話す。
ブッシュ大統領は記者会見で「米連邦捜査局(FBI)と司法省が事態を注視している。(6人の)裁判は継続しており、正義が行われるよう強く願っている」と語った..