ID 4086
登録日 2007年 6月14日
タイトル
完成された小宇宙--盆栽
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新聞名
世界日報
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元URL.
http://www.worldtimes.co.jp/col/every/ev070614.html
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元urltop:
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写真:
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「盆栽」と聞くと、お年寄りが庭で盆栽いじりをしている、というイメージだった。それが先日、秋田市文化会館で開かれた「第18回春の盆栽展」をじっくり見ると、かなり印象が変わった。
絵や音楽と同様、趣味を超えた個性の演出であり、芸術なのだ。
主催は、社団法人日本盆栽協会秋田中央支部。同協会は昭和四十年、社団法人として故吉田茂元首相を初代会長に迎えて発足した盆栽愛好者の全国組織。秋田県には二つの支部があり、今回は秋田中央支部の盆栽
展で、秋には全県規模で開く。
同支部の館岡哲男さんによると、今回は約三十五席の出品があった。「席」とは横幅約百八十センチのスペースで、基本的には松などの「主木」の傍らに草花や石などの「添草(そえぐさ)」を配し、一つの空間をつくる
。
主木は、黒松や唐松、槙柏(シンパク)、山査子(サンザシ)、サツキ、楓(カエデ)、ケヤキなど。添草は、紫色のトキソウ、ミヤマキリシマ、姫ライラックなどの季節の花や小さい樹木が主だが、中には石も。置く台や鉢に
も工夫をする。
制約はあまりなく、「席」の空間の中でバランスがとれ、美しさや力強さ、風格などが人の心にどれだけ感銘を与えるか、が判断基準のようだ。
向こうの紫色のサツキ、手前の青々とした草花はみずみずしい。中には樹齢八十年とか百年の作品もある。
「昔は山に行って採ってくることができたが、環境保護を唱える現今では、買い求めるか、譲ってもらうしかない。私も、高齢になって世話ができなくなった人から、大きい盆栽を譲り受けました」と館岡さんは言う。
季節によっては紅梅や寒桜、秋には紅葉したカエデが部屋を彩れば、客への何よりのもてなしになろう。そんな思いを巡らしながら、ついつい魅せられていく..