ID 2858
登録日 2007年 2月23日
タイトル
名木や巨木が消える?
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新聞名
八重山毎日オンライン
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元URL.
http://www.y-mainichi.co.jp/?action_article_show=true&article_id=7300
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元urltop:
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写真:
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字石垣の宮鳥御嶽境内にある沖縄県指定天然記念物リュウキュウチシャノキやクワノハエノキ、フクギなどの巨木がここ数年、台風や原因不明のまま枯死し、関係者から危惧(きぐ)する声が高まっている。市
教委文化課では昨年、チシャノキの土壌入れ替えや施肥を実施したが樹勢は回復せず枯死し、イビ内の樹木も枯れかかっている。関係者からは南根腐病ではないかとの指摘があったが判然としていない。このほど独立
行政法人森林総合研究所九州支所が実施した調査によると「南根腐病」が原因による枯死の可能性が高いとされている。(辻本順子記者)
「南根腐病」は1988年に石垣島で初めて被害が発見された樹木病害。病原菌はシマサルノコシカケという硬質のキノコをつくる菌類の一種で、根株部が根腐れを起こし、樹木が枯死にいたる土壌病害。感染した樹木の
根と健全な根が接触することで周囲の健全木にも次々と感染していくという。
同九州支所では数年前から沖縄、奄美群島での根腐病の発生実態、宿主植物などの調査や病原菌の収集を行っており、今回は石垣島と西表島で予備的に調査を実施、5カ所から枯死した樹木のサンプルを持ち帰り、
病原菌の分離試験を行っているが詳しい結果はまだ分からず、宮鳥御嶽の調査結果についてはあと1カ月はかかるという。
石垣島では、ヘーギナーや名蔵付近の防風林、石垣小学校付近の民家の樹木もその可能性が高いという。
南根腐病は研究が遅れているため、データの蓄積が少なく、今のところ防除方法がなく枯死した樹木の根や周辺の土壌を除去し、殺菌したあと新しい土壌を入れるなどの方法が考えられるが、どの程度の効果がある
かは不明のようだ。殺菌についても農薬関係の法律が改正され使用が難しいとされている。
市教委の大田静男文化課長は「南根腐病が原因ではという指摘は以前からあり、関係機関に防除策を聞いたが、有効な防除策がないとの回答だった。チシャノキは、八重山諸島の植物分布を考える上で貴重であり、枯
死は本当に残念。森林総研の科学的な土壌分析結果を注目している」と述べるとともに「御嶽の境内だけに石垣字会とも話し合い、どのような防除策がとれるか検討したい」としている。
昨年からヒメコバチと呼ばれるハチの一種による生育阻害などで樹齢約100年のデイゴの立ち枯れが広がり、防除対策もできないまま放置状態にある。
また最近の急速に進む土地開発のため多くの樹木が伐採されていることも含めて「八重山の樹木が危ない」との声が多く聞こえる。行政や市民団体が保全対策や活動に取り組まないと、八重山から巨木や天然記念物の
樹木が全滅する危険性も森林関係者から指摘されている。
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