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ID 2812
登録日 2007年 2月20日
タイトル
亜熱帯雨林の魅力に触れる
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新聞名
日豪プレス
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元URL.
http://www.nichigo.com.au/column/minogase/2007/0703q_mino/
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元urltop:
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写真:
 
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1月某日、曇り空。今にも雨が降り出しそうだ。天気を心配しながらラミントン国立公園へ向かう。ゴールドコーストから車で約1時間かけ、ネラング・サウスポート・ロードを西へ向かう。標高1,100メートルに位置 し、世界で最も標高のある亜熱帯雨林は、世界遺産に指定されている。急角度でU字状に曲がりくねった山道を通り抜け、さっそく途中のインフォメーション・センターへ立ち寄った。13種類以上ものウォーキング・コース から、今回は11キロ・約4時間のクーマラ渓谷にあるクーマラ滝を目指すコースを選んだ。初めての亜熱帯雨林体験に期待で胸が高鳴る。
  午前11時30分、麓の駐車場に到着。キャンプ場でもあるこの辺りは、多くの人で賑わっていた。ウォーキングに備えて、カフェで腹ごしらえをする。直径15センチはあるホームメイド・ミート・パイを口いっぱいに頬張った 。
  水とマフィンをリュックサックに入れ、いよいよウォーキングがスタート。クーマラ・トレッキング・コースは、高燥亜熱帯雨林と低温亜熱帯雨林の2種類から構成されている。初めに足を踏み入れたのは、湿気が少なく亜熱 帯雨林の中でも最も多様な木々が立ち並ぶ高燥亜熱帯雨林だ。ワラビーよりも少し小さいパディーメロンが出迎えてくれた。「かわいい ! 」思わず叫んだ。お腹のポケットには赤ちゃんが入っていて、ピョンピョンと目の前をゆっくり通り過ぎて行く。人間を恐がりもせず、木々の間から愛らしい目でずっとこちらを眺めていた。しばらく行くと赤と黒のブッシュ・ ターキーという七面鳥がトラックを散歩していた。針金のような細い足だが、足の甲は大きく力強い。地面を片足で掘り小さな昆虫を探しているようだった。
絞め殺しのイチジク   森は奥深くどこまでも続いている。辺りを見渡すと、森の雰囲気が変化していることに気が付いた。木々の間から多少の木漏れ日が差すものの、森の中は少し肌寒い。気温が下がってきている。そこで温度調節のために 持参した薄手のセーターを着ることにした。
  シダやコケが生い茂り3層に重なった、40メートルもの高い木々が、ただでさえ弱い陽光を遮る。ひんやりとして薄暗い森の中は、前日に降った雨の影響で、より一層湿気と暗さが増しているようにも思えた。トレッキング・ コースにはとても興味深い植物が数多く自生している。個々の植物が工夫を凝らし独特の進化や適応をしなければ生き残れないのだ。特にユニークなのは巨木に寄生して成長し、その後宿主を枯らすことで有名な蔓生 植物「絞め殺しのイチジク(Strangler Fig)」だ。亜熱帯地域には、蔓性イチジクの果実を好んで食べるコウモリが多く生息している。彼らは木にぶら下がったまま排便をするので、糞は葉に引っかかるなどして樹木の上部にとどまることが多い。そこに含まれ たイチジクの種子は落ちた場所(葉の表面や枝など)で発芽してすぐに根の伸長を開始する。根は急速に枝分かれして太くなり、樹木に巻きつきながら伸びて地面に到達。その後、地面からの養分と太陽の光を吸収して どんどん太くなる。イチジクに巻きつかれた樹木はこうして水分や栄養の循環を阻害されて枯れてしまうのだ。
  歩き始めて約1時間。スポットライトが当たっているかのようにパッと明るい緑が目に飛び込んできた。乾燥した木々が立ち並び、可憐で小さい白や黄色の花も咲いている。そして、森はカエルの鳴き声が聞こえていた低 湿亜熱帯雨林から、さまざまな鳥たちの鳴き声が聞こえる高燥亜熱帯雨林へと変化した。
霧雨がかかったクーマラ渓谷   約2時間歩いたところで、ついに折り返し地点のクーマラ渓谷に到着した。160メートルの深さがあり、アブセイリング(ロープを使って急な斜面を降りるアクティビティー)の名所としても知られている巨大なクーマラ滝も 見えてきた。見晴らし台から下を眺めると、その高さだけでなく、ものすごい勢いで多量の水が落ちていく光景に絶句した。
  霧雨が降ってきた。風の流れで左から右へ雨が流れていくのが目ではっきりと確認することができる。そして、恐怖心はますます高まった。
  しばらく雨宿りをすることにした。大きな木の下で持参したマフィンを口にし、空腹をまぎらわす。雨の勢いが増してきたので、来た道を足早に歩き始める。落ち葉で敷き詰められた地面はスポンジのように柔らかい。注 意深く歩いていると、1匹の巨大なヒルを発見。ヤマビル科のヒルは、全長2~3センチで平たい円柱状の体が特徴だ。人間や動物が吐く息に含まれる炭酸ガスや体温でその存在を感知し、素早く接近。付着して吸血する と言われている。「足にヒルがくっ付いていないか、確認してみてください。もしくっ付いていたら血を吸っているので素早く摘んで取ってください」と、ガイドからのアドバイス。さっそく足元を見てみた。「ギャー」と絶叫。ま さかとは思ったが、小さなヒルがふくらはぎの内側に付いていた。クネクネして、見るからに不気味なヒル。どうしようか一瞬考えたが、勇気を振り絞って取ることにした。ミミズのようにぬるぬるとして意外と力強く張り付 いていた。
クーマラ滝   ヒルと格闘後、再び歩き始めた。雨が本格的に降り始め、辺りは薄暗くなった。カエルの声がいっせいにあちらこちらから響き、人間の声よりもカエルの声の方が賑やかになった。会話も減りウォーキングに集中する。しば らく行くと途中で雨が止んだ。空が急に明るくなり、10分もしないうちに煙のような霧が立ち込めた。「うわ。何だろう」小さく呟く。雲がラミントン国立公園全体を覆い始めたのだ。きっとゴールドコーストから見ると一面雲で 覆われているに違いない。
  麓に到着するころにはすっかり明るくなるほど太陽の日差しが戻っていた。ゴクゴクと音を立てて水を飲み干し、11キロもウォーキングした後の爽快感を満喫する。車に戻り靴を脱ぐ。靴の中まで濡れていた。ニョキニ ョキとさっき格闘したヒルが再び現れた。思い切って靴下を脱ぎ足の隅々を見てみると、5匹のヒルが血を吸っていた。一瞬、寒気がしたが今回は冷静だった。
  緑を目と耳と肌で感じた。曇り、雨、晴れと3段階に天気が変化し、それと同時に森の様子も様変わりした。自然を体いっぱい感じ、亜熱帯雨林を独り占めしたような満足感で満たされた。幸せなエネルギーを吸収した贅 沢な1日だった。
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このページの公開日は1999年11月12日。最新更新日はです。

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