v10.0
- ID:
- 40223
- 年:
- 2017
- 月日:
- 1210
- 見出し:
- あすなろ一本切ることに大げさに騒ぐネット住民
- 新聞名:
- BLOGOS
- 元URL:
- http://blogos.com/article/264323/
- 写真:
- なし
- 記事
- 記事赤木智弘2017年12月10日 10:17あすなろ一本切ることに大げさに騒ぐネット住民12月2日から神戸メリケンパークで行われているイベント「めざせ! 世界一のクリスマスツリー PROJECT 〜輝け、いのちの樹。〜」が、イベント開始前からネット上で批判されていた
批判する人たちの主張としては「樹齢150年のあすなろを引っこ抜き、切り刻むなどかわいそうではないか」ということらしい。(*1)まぁ、騒ぐ人たちの気持ちもわからんではない。だって気持ち悪いし
別に「でっかいクリスマスツリーを作ろう!」ということだけでいいはずなのに「~輝け、いのちの樹。~」なんていう副題付けて、神戸の復興と再生とか、単にでかいあすなろの木を運ぶだけのことに「植物を運ぶことで夢を運ぶ。希望を運ぶ」とか、ポエム過剰のインチキおじさんじゃないかくらいにしか、僕も思わない。(*2)んでもって、最終的には木は切ってバングルとかにすると言われたら、何じゃそらと思うのも仕方ないでしょう。なんだよ、輝けって言ったって、その後には殺すんだからいのちもクソもあるかと
なんとなく思い出したのは、かつてのまだお金があった頃のテレビ番組で、寂れた商店街を「元気が出る」なんて盛り上げてみたり、青梅街道で有名店に囲まれて閑古鳥が鳴いていたラーメン屋に「突然バカうま」なんてキャッチコピーを付けて盛り上げてみたりしていたこと
もちろんテレビではそれを大々的に取り上げて「こんなにお客さんが来ました」なんてやるんだけど、当然その数千倍や数万倍の人たちは「あー、そういうやつね。俺興味ないから」としか思っていなかったわけで
結局、その前者の商店街は今は更に寂れているようだし、後者のラーメン屋は区画整理で潰れたらしい。まぁテレビの企画なんてそんなもんだ
要は、ちょっとしたイベントに沢山のそれっぽい空疎な言葉をつなげて、さも大々的なイベントのように脚色をしているということで、まぁ当時も気持ち悪かったけど、今でもそうしたイベントを見かけると、寒気が走るのは僕も同じである
かつてのテレビの企画の場合、ごく一部に文句を言っていたヤツもいたかもしれないが、誰でも情報発信などという時代でもないので、単にみんな黙って単なるテレビの1企画だからとスルーをしていた
今回の企画も同じで、自分が神戸市民だったら文句の1つも言ったかもしれないけれども、別に全く関係ないし、行くつもりも興味もないのでスルーでいいと思っていた
ところが、これをあざとく見つけ出して火を付けて暴れだしたのが、悪名高きインターネットの住民たちだ。インターネットの人たちはこの単に気持ち悪いだけのイベントに対して「御神木を切った」を皮切りに「樹齢150年の天然記念物級の木」などという大げさな嘘を付け加えて、いかにこのイベントが酷いイベントであるかということを焚きつけようとした
もちろんこれにPV狙いのまとめサイトなども加わって、このイベントの責任者でもある西畠氏に対する誹謗中傷までもがされるようになってしまった
確かに気持ちの悪いイベントではあるけれども、逆にそこまで叩くようなイベントだろうか?まず、ネットに書かれた「あすなろは御神木だった」というデマだが、これは巨大なあすなろの木を神戸まで運ぶ際に神事による安全祈願が行われたときに、その一環としてあすなろの木にしめ縄が巻かれた。その写真を批判する人達が「御神木だった」といい出したのである。(*3)やがてこれが嘘であることがバレ始めると、今度は「樹齢150年のあすなろは天然記念物級だ」といい始めた。しかしこれも、あすなろの木は植林してから150年程度で加工するのが普通という、本業の人たちの言葉で、嘘であることが明確となる。つまり、批判した人たちもまた、批判するだけの根拠をもたないから、大げさな言葉で嘘を重ねるという気持ち悪いことをするしかなかったのである
では、たかだか大きなクリスマスツリーをつくるというだけのイベントに様々なポエムを乗っける気持ち悪さと、嘘をついてまでそれを必死に叩こうとする人たちの気持ち悪さ。それが同等かといえば全く違う
このイベントは気持ち悪くとも、それを気持ち悪いと思わない人たちや、それを主催したり支援したりする人たちの利益になる。このイベントは別に誰かに犠牲を強いているのでもなければ、誰かをバッシングしているのでもない。ただ、産業用には普通に切られる木を切って、根っこごと神戸まで運び、クリスマスツリーにするだけだ。犠牲になったのはあすなろの木だけである
一方で、このイベントを大げさな嘘をついてまで卑下する人たちは、まずこのイベントで得られるはずであった利益を失わせている。予定であったバングルは販売が中止されるなど、少なからず問題が発生している。(*4)また「こんなことを考えるのは日本人じゃない」などという中傷も見かけたが、こうした言葉は、西畠氏だけではなく、このイベントに協力をしてきた多くの人たちに対する侮辱であるといえる
もちろん、このイベントによって、実は大きな不利益が発生するという話なら別である。EM菌のように不確実な根拠で他所から持ってきた細菌類を川やお堀に投入することで環境汚染を推し進めてしまったり、反ワクチンのように病気で苦しむ人を増やすということであれば、批判も必要である
しかし、少なくとも僕はこのイベントに対して「行うこと自体を批判するに足るだけの理由」を聞いたことはない。ただ何も知らない人たちが感情的に「樹齢150年の木を切るとは何事だ!」と騒いでいるだけである
それは、木の流通を本業とする人たちの言葉からみるに、単に我々が普段使っている木材や、様々な商品の原料として木というものが、どこから来ているのかを知らない人たちが騒いでいるといる。これが大げさすぎて、問題のイベントを遥かに超えて気持ちが悪い
ネットではよく「テレビは嘘を発信する。ネットは真実を発信している」と思いこんでいる人を見かける。僕が考えるに、テレビにも嘘はあるけど、ネットほどではないとは思う
しかし、まとめサイトや一部のネット著名人は、まずネットの言うことは正しいという姿勢を取る。それはネットが正しいという事実があるからではなく、ネットユーザーの支持を得てPVを稼ぎたいからである。そうした中で、テレビや既存メディアの意見はより黒く色付けされ、ネットの意見はより白く色付けされがちだ
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