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- ID:
- 37069
- 年:
- 2016
- 月日:
- 1212
- 見出し:
- 土佐市の戸田商行は日本最後の木毛工場 高知の山が生む緩衝材
- 新聞名:
- 高知新聞
- 元URL:
- https://www.kochinews.co.jp/article/67693/
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- 透き通るぐらい薄くて細い。木材を厚さ0・1ミリ、幅2ミリに削ってつくる「木毛(もくめん)」。青果物などの箱詰めに使う、100%天然素材の緩衝材だ
50年以上使っている日本製の木毛削り機50年以上使っている日本製の木毛削り機 かつて全国に120社ほどあった製造業者は、発泡スチロールなどの石油化学製品に押され減少。今では高知県土佐市本村の「戸田商行」が、専業でつくる「日本最後の木毛工場」となった
出来上がった木毛。手触りは繊細出来上がった木毛。手触りは繊細 1961年の創業以来、原料は全て高知県産材だ。アカマツ、スギ、ヒノキ、クスノキを高岡郡梼原町や香美市物部町から原木で仕入れる。中でも緩衝材に適しているのが、粘りのあるアカマツ。皮を剥いだ後、長さ約40センチの厚板やまき状にカットし、創業当初から55年間使っている「木毛削り機」にセットする
土佐市特産のブンタンの緩衝材にも使われている土佐市特産のブンタンの緩衝材にも使われている 削り機には上下方向に動く「かんな部分」があり、2枚の刃が光る。ぎざぎざの刃でまず木材に溝を切り、表面にできたわずかな凸部を、真っすぐな刃で削っていく
木毛の材料となるアカマツ。100%高知県産材だ木毛の材料となるアカマツ。100%高知県産材だ 木毛の色、品質が変わってしまう節部分を避けるため、木材のセット角は頻繁に変える必要がある。高速で動く6台の武骨な機械の前を、職人がせわしなく往復する
極小のテープ状になった木毛は、水分を飛ばすため乾燥させる。この仕上げ工程を経ると、弾力性がさらに増す。乾燥機から雲のようにもくもくと出てきた木毛が、工場内を埋めていく。完成品は柔らかく繊細な手触りで、ほんのりと木の香りがする
高知県内ではメロンやスイカ、ブンタン、トマトなどに使われてきた木毛。農家からは「箱を開けたときの香りやぬくもり、高級感は石油系素材では出せない」と根強い人気がある
戸田商行が木毛づくり一筋で生き抜いてこられたのは「高知に豊かな山と、四季折々の果物、野菜があったから」と戸田実知子社長(50)。「高知の風土と共に歩んできた商品なんです」とにこやかに話していた
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