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- ID:
- 37019
- 年:
- 2016
- 月日:
- 1207
- 見出し:
- 「下車したくなる」戸越銀座木造駅舎 多摩産スギとヒノキで美しく改築
- 新聞名:
- 東京新聞
- 元URL:
- http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016120702000250.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- 築後九十年近くがたち、老朽化した東急池上線戸越銀座駅(東京都品川区)の木造駅舎が、東京産のヒノキとスギを使って美しく生まれ変わった。現在は鉄骨が主流で木造駅舎は少なくなったが、小さな商店が軒を連ねるレトロな街の雰囲気に合わせ、東急電鉄として八十年ぶりに木造駅舎を手掛けた。十一日に竣工(しゅんこう)式が行われる
新しい駅舎の特徴は、プラットホームを弓状に覆う屋根にある。幅四十五センチ、長さ三・五~一メートルの木材を約千枚、格子状に組み合わせた。使ったのは約百二十立方メートルの多摩産材。駅に立つと、木目が見え、木の香りが漂う。職人たちが一年四カ月かけて造った
建て替え前の駅舎は木材に白ペンキが塗られ、屋根はスレート造りだった。「ワクワクする駅になった。思わず下車したくなるでしょう」と、地元の戸越銀座商店街連合会の山村俊雄会長(68)は喜んだ
総事業費は七億円。うち二億五千万円は、都が新たに制度化した森林・林業再生基盤づくり交付金で賄う予定という。木造駅は鉄骨造りなどに比べて初期投資がかかるが、東急電鉄の八巻善行施設課長補佐(41)は「維持コスト、建物寿命とも鉄骨造りと同じぐらいか優れている」と説明した
戸越銀座駅は一九二七(昭和二)年十月に開業し、一日に約二万人が利用する。今回の建て替えは東急電鉄の「沿線住民に愛される駅づくり」の一環。商店街関係者や駅利用者に意見を求めた上で進めた。山村会長は「街になじんでいた従来の駅舎の風合いを残してほしい、と要望した」と振り返る
ホームには、地元の子どもたちが製作した木製の待合いすが置かれた。裏側に「みんなですてきな駅にしよう!」といったメッセージが書き込まれている。山村会長は「この駅から商店街を周遊してくれるとうれしい」と期待する。竣工式は十一日午後二時から。つきたて餅の振る舞いや抽選会もある
<戸越銀座商店街> 全長1・3キロと国内屈指の長さを誇る商店街で約400店舗が加盟する。独自ブランド「戸越銀座コロッケ」を打ち出すなど、にぎわいのある元気な商店街として知られる。関東大震災(1923年)で被害を受けた銀座(東京都中央区)から、ガス灯用耐火れんがとして使用されていた白れんがを譲り受け、水はけの悪かった戸越の大通りに再利用したことから「戸越銀座」の名前が付いた
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