v10.0
- ID:
- 44518
- 年:
- 2019
- 月日:
- 0410
- 見出し:
- よみがえれ藩主の桜 推定樹齢400年 皮一枚から樹木医らが蘇生 京都・宮津
毎日新聞
- 新聞名:
- 毎日新聞
- 元URL:
- https://mainichi.jp/articles/20190407/k00/00m/040/025000c
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- 江戸時代の宮津藩主が「日本一」とたたえた桜が今も生きている。含紅桜(がんこうざくら)。京都府宮津市宮町の山王宮日吉神社に植えられた古木だ。推定樹齢400年。変わりゆく城下町を見守りながら朽ちてゆき、今は皮一枚で命をつないでいる。歴史ある木を守ろうと昨年2月、樹木医たちが蘇生治療を試みた。そして迎えた春。古い枝にはいくつもの新芽が吹き出し、満開の花が覆った。青空に伸びる新芽は、新たな時代に向かう希望のようにも映る。【安部拓輝】【サクラが見ごろを迎え、大勢の人が訪れた皇居・乾通りの一般公開】<京の夜桜 息のむ美しさ 祇園白川ライトアップ><シダレザクラ 闇夜に春 東京・六義園><ソメイヨシノが満開 東京・上野公園><各地の桜を写真で> 江戸初期に永井尚長が藩主であった時代には既に咲き誇っていたようだ。ヤマザクラとしては珍しく、枝がしだれ桜のように垂れ下がる。開花すると次第に紅色が増すことから永井はこれを「含紅桜」と名付け、1676年にこんな漢詩を詠んだ。「誰が言うまでもなく日本一の桜である。誰かが訪ねてきて吉野の桜の話をすれば、今が盛りのこの桜を見なさいと教えてあげよう」 それから340年が過ぎた。太い幹は朽ち、皮だけで生き永らえる古木は支柱が支えている。地元では2007年に含紅桜を守る会をつくり保全に乗り出した。昨年2月には豊かな森を育てる府民税を活用して大規模な蘇生治療を試みた。樹木医らが根元の土を掘り起こして古い根を切り、肥料を加えて根の再生を促したのだ。根は土の中で1年かけて静かに伸びて、再生の力を蓄えていった
今月初旬、含紅桜は無数の花芽をつけて一斉に開花した。牧宏明宮司は「太い枝の節などから新たな若芽が吹き出している。よかった。元気を取り戻してくれた」と喜ぶ。幹の中程からは地面に向けて根が伸びて徐々に太くなり、幹に変わろうとしている。10年もすれば成長し、古木を支えてくれるはずだ。同府綾部市新町の樹木医、伊藤武さん(80)は「長い目で2代目を育て、さらに400年先まで生きてほしいと思う。日本の歴史を語り継ぐ木を一本でも多く残していきたい」と話している
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