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- ID:
- 43934
- 年:
- 2019
- 月日:
- 0212
- 見出し:
- 天竜ヒノキの根元材 小物に変身
- 新聞名:
- 中日新聞
- 元URL:
- http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20190207/CK2019020702000079.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- 浜松の豊岡クラフトが販売名刺箱(手前)をはじめ天竜産ヒノキの根元材を使った製品を示す山崎徹社長(右)と星川健史主任研究員=浜松市浜北区の県農林技術研究所森林・林業研究センターで写真 高級木工品製造の豊岡クラフト(浜松市北区)は、天竜産ヒノキの根元材を使った名刺箱やペンケースなどの小物の販売を本格的に始めた。建築材に不向きで山に放置されることも多い根元部分の活用を模索していた県と共同開発し、上質感のある風合いに仕上げた。希少な部位を使った製品として国内外に売り込む
針葉樹のヒノキの根元は曲がっていることが多く、建築や家具の素材には適さない上、広葉樹と比べて柔らかく加工時に欠けやすいとされる
伐採時に根元の一メートルほどを切り落としていく業者もおり、県農林技術研究所森林・林業研究センター(浜北区)の星川健史主任研究員(37)は「植林の邪魔になり、森林管理を妨げている」と嘆く
大手時計メーカーの下請けだった豊岡クラフトは、四十年ほど前から自社の小物作りに力を入れている
安価な北米産広葉樹のアルダー材を主に使ってきたが、地元で流通する木材に切り替えようと、二〇一五年からセンターとともに天竜産ヒノキの根元材で製品開発に取り掛かった。山崎徹社長(48)は「使えないものという先入観があったが、節が少なく木目も特徴的で、小物なら加工も問題がなかった」と振り返る
一六年に東京の百貨店で試作品を販売したところ、「見た目がアルダー材と変わらない」と指摘を受け、塗装を工夫。染料や塗料の組み合わせを試行錯誤し、おしゃれで光沢のある黒檀(こくたん)に近い外観を実現した。昨年十一月からフランスのパリ装飾美術館で開催中の日本展に合わせて小物二十点を並べたところ、約一カ月でほぼ完売し、手応えをつかんだ
山中に放置されたヒノキの根元部分=県農林技術研究所森林・林業研究センター提供写真 販売するのは、名刺箱や腕時計置き(税別五千円)など十種類。黒色の単色タイプと、木材本来の色合いと黒色を合わせた二色タイプがある。今年で創業五十周年を迎えることから来年以降の発展を願い、ブランド名は「Toyooka Craft Collection 2020」とした
浜松市中区の地ビール工房「マイン・シュロス」で販売中。今後は国内の百貨店のほか、韓国を手始めに海外にも売り込む計画だ
フランスのデザイナー集団が関わった小箱の新ブランド「Hako」の製品も三月ごろに発売予定で、現在約一億円の年間売上高を数年後に一・五倍にする目標を掲げる。山崎社長は「天竜産ヒノキの素晴らしさを世界中の人に知ってもらいたい」と意気込む
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