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- ID:
- 三島工場はアジア圏などから木材チップを輸入し、パルプを製造している。主力商品は印刷用紙や段ボール原紙など
42767
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0930
- 見出し:
- 3分でわかる セルロースナノファイバー
- 新聞名:
- 日経xTECH
- 元URL:
- https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/keyword/18/00003/092700004/
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- セルロースナノファイバーって何? 植物の主成分であるセルロースから抽出した極細の繊維状の材料。「ナノファイバー」という名前は、直径がnm(ナノメートル)級の細い繊維であることから来ている。具体的な大きさは、直径が数~数十nm(ナノメールトル)で、長さは0.5~数μm程度
造り方は、木材をカットしてチップにした後、パルプ化する。これを化学的、あるいは機械的に処理してセルロースを抽出し、細かくほぐす(解繊する)ことでセルロースナノファイバーを得る
なお、セルロースナノファイバーは文字数が多いため、記事などでは「CNF」と略して表記されることがある
[画像のクリックで拡大表示](セルロースナノファイバーの写真の出所:星光PCM)なぜ注目されているの? 世間一般の受けが良いのは、生活の身近にある木材などから採れる天然(植物)由来の「グリーン材料」だから。実際、セルロースナノファイバーは環境負荷の軽減に貢献する。まず、植物の生長過程で光合成により二酸化炭素を吸収するため、いわゆるカーボンニュートラルを実現する。つまり、生産活動を行った際に排出する二酸化炭素と、吸収する二酸化炭素を同量にできる(二酸化炭素を増やさない)。加えて、化石燃料を原料とする工業材料や鉱物資源とは異なり、取り尽くせば枯渇するものではなく、計画的に栽培することで再生産が可能だ。すなわち、持続可能性(サステナビリティー)が見込める材料でもある
企業が注目するのは、まずビジネスチャンスの大きさ。経済産業省は2030年に日本国内だけで1兆円市場に成長すると試算している。セルロースナノファイバーの需要は日本市場に限定されるとは限らず、むしろ欧州では環境問題への関心が日本よりも高いことから、世界ではより大きな市場成長が見込める可能性がある
加えて、グリーン材料としての期待が企業にはある。ますます厳しくなる環境規制を乗り越える材料になり得るという期待だ。例えば、欧州では家電製品にガラス繊維強化樹脂を使うことを規制する動きが見られる。材料として再利用するマテリアルリサイクルも、燃やして熱源として使うサーマルリサイクルもできないからだ。これに対し、セルロースナノファイバーを添加して強化した樹脂であればどちらのリサイクルも可能になる
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