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- ID:
- 42266
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0804
- 見出し:
- サクラやモモ食い荒らす、外来カミキリの被害増
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- https://www.yomiuri.co.jp/eco/20180803-OYT1T50026.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- 国指定の特定外来生物で、モモやウメをはじめとするバラ科の樹木を食い荒らす「クビアカツヤカミキリ」の被害が、モモ生産の盛んな栃木県南地域を中心に広がっている。在来種の3倍以上の繁殖力があり、特に6月から8月にかけての夏季は産卵や生育が活発な時期にあたっていることから、農作物や地域の生態系への被害拡大が懸念されている。県などは防除方法を学ぶ研修会を今年初めて開催するなど、対応に追われている
クビアカツヤカミキリは中国、朝鮮半島のほか、台湾やベトナム北部など温暖な地域で生息。成虫の体長は約2・5~4センチで、全体的に光沢のある黒色だが、胸の部分だけ赤っぽい色をしているのが特徴だ
国内では2012年に愛知県で初めて発見され、今年1月には生態系に害を及ぼすおそれのある特定外来生物に指定された。県内では16年に足利市で初めて成虫が見つかり、17年には足利市や佐野市で幼虫も確認された
成虫は被害を起こさないが、1回の産卵で1000個以上の卵を産み、そこから生まれた幼虫により被害が拡大する。幼虫は樹木内で卵からかえり、2~3年かけて樹木を食い荒らしながら育つ。被害に遭った木は根からの水の吸い上げが難しくなり、果実が大きく育たなかったり、味に影響が出たりして、放置すれば樹木の枯死を招く
県経営技術課によると、昨年は足利市と佐野市の観光果樹園76園で調査したところ、31園のモモの木179本が被害に遭っていた。今年の被害は7月末現在、59園で470本と、昨年を大きく上回っている
同課担当者は「幼虫の繁殖までに数年の『時差』があり、気づいたら枯死ということになりかねない。そうした時差による対策の遅れも、被害拡大の一因ではないか」と推測。ウメやナシといった同じバラ科の果物生産が盛んな地域への被害拡大も警戒している
懸念されるのは農業被害だけではない。春に美しい花を咲かせるサクラもバラ科だ。県自然環境課によると、今年は公園などのサクラへの被害も報告されている。足利市は今年、市が所有するサクラ約40本で幼虫が開けた穴や幼虫が食べた木くずが見つかり、薬剤の注入や防虫ネットの巻き付けを行った。現状では枯死して伐採に至った木はないが、被害は市内全域に広まりつつあるという
被害の拡大防止に向け、県などは今年、防除に携わる市職員や農業振興事務所の普及指導員ら向けに、研修会を初めて開催。森林総合研究所(茨城県つくば市)や埼玉県生態系保護協会(さいたま市)の職員から、防除策などを学んでいる。また、生態や被害などを説明するチラシを作成し、回覧板などで住民に駆除への協力を呼びかけている
2018年08月03日 18時54分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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