v10.0
- ID:
- 41862
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0620
- 見出し:
- 防災樹木は“住民の知恵” 太く背の高い木で洪水被害軽減
- 新聞名:
- 大分合同新聞
- 元URL:
- https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2018/06/20/JD0057022161
- 写真:
- なし
- 記事
- 大分市の大分短期大学園芸科の2年生は、市内高田地区に残る防災樹木「くね」を調査している。ヤブツバキなど太く背の高い木を家屋の周囲に植えることで、度重なる洪水の被害を軽減してきた“住民の知恵”。現存する数は少なくなったが、昨年秋に市内の川を氾濫させた台風18号など自然災害が目立つ中、「くねの価値を見直し、歴史遺産として守ってほしい」と願っている
短大は吉野賢一教授と鍵和田又一准教授の研究の一環で、2016年から県内に多く自生するヤブツバキの分布や樹齢などの実態を調査している。研究を進める中、高田地区では昔から高木をくねとして家の周りに何本も植えていたことが判明。5月26日、吉野教授と鍵和田准教授、学生5人が現地を訪れ、くねの本数や樹種を調べた
地区は大野川と乙津川に挟まれた三角州。1600年ごろから戦時中まで60回を超える洪水に見舞われてきた。低湿地にある家屋や農地を守るため、周囲を堤防で囲んだ「輪中(わじゅう)」集落として知られる
学生は地区で農業を営む向(むこう)俊雄さん(70)方で、推定樹齢259年のヤブツバキを確認。向さんによると「昔はどの屋敷も高木を植え、洪水時の水流を制御し、時には木に登ったり体を結び付けて身を守っていた」
堤防が整備されて洪水の危険が減った近年、くねの役割は薄れ、高齢化で管理負担も増し、切られて地区から次々と姿を消したという。向さんは「家の建て替えや木が落雷に遭った際も切らず、大切に手入れしてきた家の守り神。地区の記憶と共に次世代に引き継がなければ」と守り続けている
学生は向さんの案内で地区を歩き、計10戸でくねとして植えられたタブノキやムクノキ、エノキなど10種類42本を確認。1本ずつ樹高や根元周などを測った
昨年は台風18号のほか、福岡・大分豪雨も県内を襲った。参加した林優衣さん(19)と好崎健太さん(19)は「南海トラフ巨大地震が起きれば、津波が川を遡上(そじょう)する恐れもある。くねの役割を見直し、どう残して減災につなげるかを考えるきっかけになれば」。調査結果の報告会を計画しているとい
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