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- ID:
- 35115
- 年:
- 2016
- 月日:
- 0319
- 見出し:
- 東中野の桜並木 保存の道を 「線路に危険」区が老木伐採
- 新聞名:
- 東京新聞
- 元URL:
- http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016031902000247.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- 戦後復興の象徴として六十年余り前にJR東中野駅(東京都中野区)近くに植えられた桜並木の枝が線路に落ちて危険だとして、中野区は先月、老木二本を伐採し、今後さらに七本を切る予定だ。近隣住民たちは事前に説明会を開かないまま伐採したことに「街のシンボルを黙って切るなんて」と反発。急きょ保存の会を結成し、苗木を植えるなどして並木を守るよう提案するが、区は難色を示している。 (石原真樹) 駅西側の線路脇の土手に、ソメイヨシノの並木が約三百メートル続く。東京の桜の開花が近づく中、花のつぼみが色づいて膨らんでいる
一九五四年、空襲で焼失した桜の木の代わりにと、地元商店街が当時の国鉄の許可を得て四十五本を植えた。鉄道ファンにも電車と桜が競演する撮影スポットとして人気だ
二月初めまで三十七本が並んでいたが、そのうちの二本が伐採され、生々しい切り口をさらしている。並木の向かいに住む米国人弁護士ミラー・ランスさん(61)は「二月九日の未明、作業員がチェーンソーで桜の枝を切り落としているのに気付いた。その場で抗議して作業を中止させたが、既に二本が切られていた」と振り返る
JR東日本によると、昨年八月に強風で枝が線路脇に落ちたのが、伐採のきっかけ。並木を管理する区と相談した結果、区が樹木診断で「不健全に近い」とされた九本の伐採を決めた。残る七本も、今シーズンの桜が散った後に伐採する方針。それ以外の二十八本については「現状では白紙」(区広報課)としている
写真 土手のフェンスに伐採を告知する看板を掲げただけで、住民向けの説明会を開かないまま伐採し、並木の保存を明言しない区の姿勢に、一部住民は「すべての木が切られるのでは」と不信感を募らせる
ミラーさんや近くで生活雑貨店を営む矢野ルリ子さん(69)らは「東中野西口の桜並木を守る会」を結成した。「伐採した老木を苗木に植え替え、並木を保存してほしい」と提案。JR東日本は「区から要請があれば協力する」との意向だが、区の担当者は「植え替えても、いずれ老木となり、同じことになる」と植え替えに消極的だ
並木のそばに残る古い看板は、「美しい花を永久に咲かせ続けて行きたい。何人といえども手をつけないでください」と地元町会の当時の願いが記されている。これまで約二百人から署名を集めた矢野さんは「桜に思い出を持つ住民は多い。区は住民の声に耳を傾け、安全を守りながら、保存する道を考えて
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