v10.0
- ID:
- 28808
- 年度:
- 2013
- 月日:
- 1020
- 見出し:
- 木曽の宝を守り育てる ヒノキ林にモデル地区
- 新聞名:
- 中日新聞
- 元URL:
- http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20131020/CK2013102002000008.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 木曽地方に分布する天然の「木曽ヒノキ」など貴重な針葉樹林を次世代に継承しようと、中部森林管理局(長野市)は、モデルとなるエリアを設定し木を守り育てる新たな試みを始める。三百年先の森づくりを見据え、長年の伐採で減少した森林資源を保護、復元する。
「生態系として危機的な状況。何らかのアクションが必要だ」。長野市の中部森林管理局で九月に開かれた有識者検討委の初回。委員の一人、森林総研関西支所の大住克博主任研究員が語気を強めた。
世界各地の針葉樹林の歴史を調べた大住研究員は、「木曽のようにまとまって良材が残る地域は世界的にも珍しい」と指摘。過伐採などで森林資源が枯渇した他国の例を挙げ、「放置すれば、木曽も同じ道をたどる可能性はある」と述べた。
写真
木曽地方の針葉樹林の中でも、樹齢百五十年以上の天然のヒノキを指す「木曽ヒノキ」は、曲がりにくく割れにくい最高級材として、神社仏閣の建立などに使われる。
しかし、長年の伐採によって量を減らしており、希少性が高まっている。このため、管理局は木曽ヒノキを保護することを主眼に、検討委を設置した。
管理局によると、木曽地方の国有林に植生する木曽ヒノキは、一九七七年度末で東京ドーム約四杯分に当たる五百十万立方メートルだったが、二〇一一年度末には約二杯半分の三百二十五万立方メートルと三十年余りで35%も減った。
減少の背景には、他の樹種で替えが効かない木曽ヒノキの品質の高さがある。昨年度は十年前から三分の一程度に伐採量を減らしたが、それでも需要が絶えないため、伐採をゼロに近づけることは難しく、減少に歯止めがかからない状況だ。
「伝統的な祭礼や文化財の補修には必要。地元経済とのつながりも深く、今よりさらに伐採を制限するのは困難」(管理局関係者)と内情を明かす。樹齢二百~三百年の古い木が多く、一年間に木が太る量が少ないことも、減少に拍車をかけている。
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