v10.0
- ID:
-
28727
- 年度:
- 2013
- 月日:
- 1002
- 見出し:
- 朝来・法宝寺のクスノキ 市天然記念物に指定
- 新聞名:
- 神戸新聞Next
- 元URL:
- http://www.kobe-np.co.jp/news/tajima/alacarte/201310/0006387746.shtml
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 兵庫県朝来市和田山町岡田の法宝寺に残るクスノキが、市天然記念物に指定された。この木は、同市と長崎県壱岐市が住民レベルで交流するきっかけとなった孝行話「孝心諒尼伝」とゆかりが深く、住民らは逸話を広く伝えるシンボルとして指定を喜んでいる。
クスノキは高さ約23メートル、幹回り約4・5メートル。江戸時代の1738年、凶作の但馬で起きた「元文一揆」を首謀した同町東河地域出身の庄屋で、流罪となった壱岐で54年間暮らした小山弥兵衛が、自身が健在でいることを古里に伝えようと、孫娘の心諒尼に託したものとされる。弥兵衛は壱岐で、読
み書きの指導や植林、果樹栽培に尽力し、現在も島内に墓が残る。
物心ついたころから祖父との対面を夢見ていた心諒尼は、わずか9歳で出家した。弥兵衛の島流しから50年後に初めて会い、念願を成就した。その後も毎月壱岐に渡り、弥兵衛が亡くなるまで世話をした。
この逸話が縁で、旧和田山町と壱岐市の間では住民の行き来と特産物の販売が続いている。朝来市となってからも、住民らが逸話を単純化した紙芝居を子ども向けに制作し、郷土史を伝承している。
心諒尼が持ち帰って植えた3本のうち、今日も残るのは同寺境内の1本のみ。森脇実佑住職(53)は「心諒尼の純粋な心を代々受け継いできたクスノキを多くの人に大切にしてもらい、おじいちゃん孝行の史実を知るきっかけになれば」と話している。
..