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- ID:
- 27904
- 年度:
- 2013
- 月日:
- 0617
- 見出し:
- 「400歳」クスノキが家具に 被災巨木 命再び
- 新聞名:
- 西日本新聞
- 元URL:
- http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/369844
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 昨年7月の九州北部豪雨による矢部川(福岡県)の増水で倒れたクスノキの巨木を、災害の記憶を伝える家具によみがえらせようと、同県大川市の家具販売会社「関家具」が製造作業に取り組んでいる。クスノキは樹齢400年ほどとみられ、文化的な価値も高い。同社の関文彦社長(71)は「こんな貴重
な素材を取り扱える機会はめったにない。豪雨の恐ろしさを物語る“証人”として大切に扱いたい」と話している。
クスノキが生えていたとみられるのは、江戸時代に旧柳川藩が治水のためにクスノキを植えたという記録が残る、国指定天然記念物「新舟小屋のクスノキ林」(みやま市)がある河川敷。この中の巨木1本が根こそぎ流され、矢部川を約5キロ下ってみやま市瀬高町に流れ着いた。長さ10メートル、直径2メ
ートル、重さ20トン。矢部川の復旧作業を行っていた業者や大川市の木材卸会社「九州大川木材市場」の江頭弘智社長(70)らが重機を使って1日がかりで引き上げた。
江頭社長と以前から取引のあった関社長は、連絡を受けて木を見るとすぐに引き取ることに決めた。これだけの巨木を加工するには多額の費用がかかり、利益が出ない可能性もあるが、「お金には替えられないストーリーが込められた木だ」と感じたという。
仕事を始めて約50年になる江頭社長も「樹齢は400年ほどだと思う。通常は伐採が許されないような木だが、豪雨で流されたことで流通することになった」と語った。
関社長はクスノキを約20点に裁断し、うち1点を長さ4メートル、幅2メートル、厚さ25センチ、重さ1トン超の巨大な板にした。関社長はこの板をテーブルに仕立て、多くの人が利用する場所に置いて豪雨について知ってもらうきっかけにしたいと考えている。木材を乾燥させる作業が必要なため、完成は数年後
になるという。
みやま市教育委員会社会教育課は「豪雨後、クスノキ林の何本かが流されてしまったのを確認した。何百年も根付いてきた木を押し流すほど、豪雨の規模が大きかったのだろう」と話している。
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