v10.0
- ID:
- 34023
- 年度:
- 2015
- 月日:
- 1014
- 見出し:
- 県内生産者の不安増大 「寝耳に水だ」危機感も
- 新聞名:
- 大分合同新聞
- 元URL:
- https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2015/10/14/003833915
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)で日本がオレンジやブドウなど幅広い農林水産物の関税を撤廃することが明らかになり、大分県内の生産者にも波紋が広がっている。冷静に受け止める声がある一方で、品目によっては産地のダメージへの懸念も聞かれる。TPPの全容や政府の対策が明確でない
状況が不安を増大させているようだ。
「寝耳に水だ」と語気を強めるのは県柑橘(かんきつ)研究会の木村房雄会長。オレンジは最大32%の関税が協定発効後8年目に撤廃される。温州ミカンとの競合が見込まれる他、米国には日本産に品質の近いデコポンもあり、影響を受ける可能性があると指摘。「生産者は簡単に木を植え替えられな
い。産地がつぶれてしまいかねない」と懸念する。
最大17%の関税が直ちになくなるブドウ。県ぶどう研究会の矢野和敏会長は「冬場に南米チリ産が輸入されているが、関税撤廃でも競合しないだろう」と冷静に分析。ただ「輸出入の環境変化で競合する可能性も捨てきれない。そうなれば大問題」と危機感も示す。
水産物ではアジが10%から16年目にゼロになる。アジ、イワシ、サバなどの漁をする県まき網漁業協議会の鳩石英世会長は「影響はあるかもしれない。魚価の低迷が続く中でさらなる下落は厳しい」と不安を口にした。
建築部材に使われる木材合板は品目ごとの6~10%の関税が16年目に撤廃される。国内産の合板がマレーシア産に置き換わり、県産の合板材料の出荷量が減る可能性はあるが、木材関係者は限定的とみている。
JA大分中央会は大筋合意に対して「到底容認できない」との立場。農家の不安払拭(ふっしょく)や影響分析には積極的な情報公開が不可欠として国に説明を求めている。県農林水産部は国からの情報収集に力を入れる。
メモ
8日に農林水産省が農林水産物の大筋合意内容を公表し、焦点だったコメ、麦など「重要5項目」以外の合意内容が明らかになった。関税を設定している834項目のうち協定発効後に約半数で撤廃する。オレンジ(生果)の場合、6~11月は16%、12~5月は32%から、4~11月は6年目に撤廃。12
~3月は輸入急増時の緊急輸入制限(セーフガード)を設けるものの8年目に撤廃する
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