v10.0
- ID:
-
32301
- 年度:
- 2015
- 月日:
- 0102
- 見出し:
- 大気中から水を作り出す!電力すら使わない「竹の塔」が出現
- 新聞名:
- FUTURUS
- 元URL:
- http://nge.jp/2015/01/21/post-93075
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- WarkaWater
“アフリカの水貯蔵庫”とまで言われるほど降雨量が多いエチオピアだが、現実には何十キロも離れた水源にまで毎日水を汲みに行かねばならない人達が多く暮らしている。
しかも、ようやくたどり着いて手に入れた水は濁っており、衛生上安全とは言えないものだ。
衛生面で安全な水が得られなければ、病気も蔓延しやすい。しかし固い岩盤のこの地域で、井戸を掘るのはコスト的に困難だ。
それならば、ローコストで電力などのエネルギーも使わずに、空気中から安全な水を確保しようというプロジェクトが、クラウドファンディングの『Kickstarter』で資金を募っている。
電力を使わないローコストな水の供給システム
『Warka Water』と名付けられた装置は、まるで現代アートのモニュメントのようで、竹で編まれた大きな塔といったものだ。
しかしこの『Warka Water』が、電力などのエネルギーを一切使わずに、空気中の霧や雨露から水を集めてくれるという。
考案したのはイタリアの建築家グループで、代表のアルトゥロ・ヴィットリ氏によれば、『Warka Water』はエチオピアに自生する“Warka”の木からデザインのヒントを得て名付けたという。
Warkaの木に憩う
『Warka Water』は今回初めて登場したわけではないが、常に改良が加えられており、最新型では主構造体となる骨組みは竹でできている。
塔の先端には鳥除けの回転鏡が取り付けられている。内側には蚊帳の様に耐水性ポリエステル製の網が張られており、この網が空気中の水分を捕らえる。
網が水を捕らえる
この網に付着した水分が、『Warka Water』の根元に設置された容器に貯まるという単純な仕組みだ。
高さは高い物で約10m、直径が4.2mにもなるが、竹と網でできているので非常に軽量だ。組み立てや設置に重機などは不要で、人力だけあれば良い。大人が4人もいれば、移動も簡単に行える。また、メンテナンスも容易だ。
しかし、見た目以上に能力は高く、1基の『Warka Water』で1日に50リットルから100リットルの安全な水を供給できる。そして1基製作するために必要な費用は約1,000ドルとなる。
ハイテクな水供給システムでは考えられない低コストで、しかも人力のみで1時間もあれば設置できる。繰り返すが、稼働には電力などのエネルギーは一切不要だ。
水問題の解決は遠いが
『Warka Water』が供給する1日50~100リットルの水は、我々の感覚だと少なめだが、飲み水に限定すればかなりの人を助けることができる。
そうはいっても、エチオピアで安全な水を得られない人々は6,000万人もいるというから、水問題の解決は容易ではない。
それでも『Warka Water』に張られた布製の天蓋が作る影は、まるで『Warka』の木のように人々を強い日射しから守りつつ、安全な水を供給し続けることができるのだ。
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