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- ID:
- 25889
- 年:
- 2012
- 月日:
- 1114
- 見出し:
- 植物系汚染物の焼却灰から放射性Csを回収する設備の試験開始
- 新聞名:
- 毎日新聞
- 元URL:
- http://news.mynavi.jp/news/2012/11/14/011/
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 産業技術総合研究所(産総研)は、東電環境エンジニアリング(東電環境)と共同で、植物系放射性セシウム(Cs)汚染物を焼却して生じた焼却灰を除染した後、抽出された放射性Csを「プルシアンブルー(PB)ナノ粒子吸着材」で回収する技術を開発し、東電環境が実施主体となりその実証試験プラントを福島
県双葉郡川内村に設置したと発表した。
成果は、産総研 ナノシステム研究部門 グリーンテクノロジー研究グループの川本徹研究グループ長、同・伯田幸也主任研究員、同・田中寿主任研究員、同・小川浩主任研究員、同・南公隆産総研特別研究員、同・北島明子産総研特別研究員らの研究グループによるもの。
2011年3月11日の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質漏えい事故以来、福島県を中心とした除染の推進が国家的課題として進められている。しかし、除染により生じた放射性物質を含んだ廃棄物を貯蔵・保管する施設については、現時点ではその設置場所の決定には至
っておらず、貯蔵や保管に十分な規模の施設を確保できるかどうか不透明な状況にある。そのため、除染により生じる廃棄物を減容する技術の確立が喫緊の課題となっているのが現状だ。
減容すべき廃棄物の1つに植物系放射性Cs汚染物がある。住宅などの周辺を除染した際に生じる草や木の葉などに加え、農林業で生じる樹皮、堆肥なども放射性Csで汚染されているものもあるが、最終処分を含めた解決には至っていない。また、環境省が設置した環境回復検討会では、森林除染について
も、必要な調査研究を推進し検討を進めることとする、という議論がなされている。
植物系放射性Cs汚染廃棄物を焼却した場合、放射性Csを高濃度に含む灰が排出されるため、その管理方法が課題だ。特に、焼却炉に残る主灰より、ろ過集じん装置のバグフィルターで捕捉される飛灰は、特に放射性Cs濃度が高く、加えて、水との接触により放射性Csが溶出することが知られており、処
理・管理方法の確立が課題となっている。
産総研は、事故以降、精力的に除染技術の開発に取り組んできた経緯を持つ。特に、高効率・高選択性を示すCs吸着材として、PBナノ粒子の開発が進められてきた。PBナノ粒子は、Csと似た性質のナトリウムやカリウムのイオンが高濃度に存在する水からでも、Csイオンを選択的に高効率で吸着すること
が可能だ(画像1)。
これまでに、焼却灰から放射性Csを水に抽出した後に、その抽出水にPBナノ粒子を添加して放射性Csを回収し、放射性Cs汚染物を減容させる方法を提案している。
また、添加したPBナノ粒子を凝集沈殿法により固液分離する方法については、平成23年度除染技術実証事業において、郡山チップ工業などと協力し、プロセス条件、実施コストなどを精査した。
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