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- ID:
- 25282
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0914
- 見出し:
- 水害前撮影の美しい十津川村映画「復興後押し」
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120913-OYO1T00882.htm?from=main2
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 紀伊水害で被災する前の奈良県十津川村の自然と人々の暮らしを描き、8月のスイス・ロカルノ国際映画祭「新鋭監督部門」で最優秀賞に輝いた「祈
いのり
―Inori」(72分)が、20日に村内で上映される。村の人々は「映画が復興の後押しになれば」と、スクリーン上での美しい古里との再会を心待ちにしている。
メキシコ人のペドロ・ゴンザレス・ルビオ監督(35)の作品。澄んだ川の流れや生い茂る木々など美しい自然を描きつつ、林業の衰退で若い世代がいなくなった山深い里で、先祖に感謝の祈りをささげながら変わらぬ暮らしを続けるお年寄りたちの姿を淡々と追う。
2010年の「なら国際映画祭」で別の作品で最高賞を受賞し、奈良が舞台の映画の制作権を得たルビオ監督が「木々が茂る山々や清らかな川のある場所で撮影したい」と望み、同県出身の映画作家河瀬直美さん(43)が同村を推薦。約50人が暮らす神納川
かんのがわ
地区を選んだルビオ監督は昨年4月9~20日、スタッフと農家に寝泊まりし、ロケを行った。
作品に登場する福井サカエさん(83)は「家の前の川、つり橋、山道、色んなところを歩いたんよ。みんなでご飯を食べて話して、楽しかった」と振り返る。
帰国したルビオ監督が編集作業に入ろうとしていた昨年9月、台風12号が村を襲った。神納川の住民は無事だったが、土砂崩れで景観は一変。清流は濁り、土砂が堆積して流れも変わった。知らせを受けたルビオ監督は「撮った光景が変わってしまったからこそ完成させる使命がある」と思いを新たに編集し
たという。
20日は村役場など村内2か所で上映され、14日に奈良市で始まる「なら国際映画祭」でも公開される。出演した食料品店主柳瀬哲夫さん(63)は「村や神納川の魅力が広く伝われば、村が前に進む力になる」と期待。来日するルビオ監督は「制作に携わった皆さんと語りたい」と言い、河瀬さんも「受賞の
喜びを分かち合いたい」と話している。
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