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- ID:
- 24719
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0705
- 見出し:
- 西粟倉村の木々 街に息づく~コラム・晴れの国から~
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/okayama/news/20120704-OYT8T01341.htm
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 弊紙岡山版の連載「地方を生きる」の取材で、3か月ほど西粟倉村を回った。村にある原生林には約200種の植物が自生しているといい、林内の遊歩道を歩くと、森は神聖な空気をまとい、呼吸していると感じた。樹齢数百年というブナ、カエデ、ミズナラ――。その足元では小さな木が枝を広げ、巨木の間か
らこぼれ落ちる光を懸命に集めていた。
「効率を求める都市経済だけでなく、小さな木々を大切にする経済や生き方があっていいと思う」。同村の間伐材を使い、床板タイルを製造する西粟倉・森の学校の牧大介社長(38)は、村と同社の思いをそう話した。
5月中旬、東京・秋葉原。同社の床板タイルを採用したNPOのオフィスを訪ねた。ここでは、大手にも間伐材を使った床のリフォームを依頼したが、実用的な商品はなかったという。森の学校が商品化した床はヒノキの匂いがすがすがしく、白い木目も印象的だった。NPOの職員は「もったいなくて土足では歩け
ない」と、スリッパを履く。
「村の人に間伐材が商品となったケースを見てもらったらいいのに」と私が言うと、職員はうなずいた。窓の外には東京スカイツリー。ハイテクの塔の足元でも、村の木々は確かに呼吸していた。
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