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- ID:
- 24616
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0621
- 見出し:
- 地域通貨助成 一石何鳥にも
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shimane/news/20120620-OYT8T01137.htm
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 間伐されずに放置されている森林は「荒廃林」と呼ばれ、大きく育たない木には商品価値もない。そんな森林を多く持つ岡山県西粟倉村(にしあわくらそん)が森の再生を目指したように、県内でも、森をよみがえらせようと、新たな取り組みが始まっている。(中村申平)
雲南市は総面積の8割に当たる約4万3000ヘクタールが森林だ。しかし、木材が売れずにもうからないことや、森林所有者の高齢化で、大半の森林が間伐などの手入れもされずに放置されたままだという。
そこで、市は今年度、かつて林業が盛んだった吉田と掛合の2地区で、間伐材の収集運搬作業を行った市民らに地域通貨などを助成する事業を始めた。市民らが間伐材などの「林地残材」を指定された場所に運ぶと、1立方メートル(約0・7トン)あたり3000円と地元商店街で使える地域通貨「里山券」3
000円分がもらえる。
集められた林地残材は燃料チップに加工され、同市掛合町波多の温泉施設「満壽(まんじゅ)の湯」の湯を沸かすのに使用。これらの事業は、市内の森林組合やチップ加工業者など7社が設立した合同会社「グリーンパワーうんなん」(田部真孝代表)が、市の補助を受けて行う。
市民らが林地残材を切り出して運ぶには、グリーンパワーと市が共催する講習を受講し、事前に名前を登録する必要がある。第1回講習会が17、18日に開かれ、延べ31人が参加。市有林で木をチェーンソーで倒し、巻き上げ機で木を運ぶ一連の作業を体験した。
参加者の同市掛合町松笠、団体職員白築俊幸さん(60)は「先祖から譲り受けた森林がほぼ手つかずのまま。間伐や搬出作業には人手が必要だが、仲間を募って社会貢献のためにも頑張りたい」と話した。
同様の取り組みは、津和野町が昨年度、県内で初めて試験的に実施。昨年10~12月の3か月間で目標数量を約90トンも上回る237トンを回収する成果を挙げ、今年度は通年で1000トンを目標としている。今年度は浜田市や邑南町など6市町が計画。益田市や大田市も検討している。
県東部農林振興センター雲南事務所の井上純弘・専門林業普及員(50)は「今までゴミとして扱われていた林地残材がエネルギー資源となり、森の整備も行われ、地域通貨の発行で地元商店街も潤う。一石二鳥ならぬ“一石何鳥”にもなる。特に、定年後も元気な団塊の世代に参加してもらえれば」と期待
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