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- ID:
- 23843
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0326
- 見出し:
- カナダとEPA交渉開始で合意
- 新聞名:
- NHK NEWS
- 元URL:
- http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120325/t10013956181000.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 野田総理大臣は、日本を訪れているカナダのハーパー首相と会談し、EPA=経済連携協定の締結に向けた交渉に入ることで合意しました。
野田総理大臣は、総理大臣官邸で、カナダのハーパー首相と会談し、そのあと、そろって記者会見を行いました。
この中で、野田総理大臣は「EPA交渉を開始すること、また天然ガスなどの資源に関する民間分野の協力をさらに促進するための取り組みを加速させることで一致した」と述べ、首脳会談でEPAの締結に向けた交渉に入ることで合意したことを明らかにしました。また、野田総理大臣は「両国がパートナーとして
、国際社会、特に北朝鮮問題を含むアジア大洋州地域におけるさまざまな課題に協力して取り組んでいくことが重要であることを改めて確認した」と述べ、経済分野に加え、安全保障分野でも関係強化を目指す考えを示しました。
これに対し、ハーパー首相は「正式に自由貿易交渉を日本とカナダの間で開始することを発表できることは大きな喜びだ。歴史的な第一歩であり、雇用の創出と経済的な発展を2か国にもたらす」と述べ、今回の合意を評価しました。
EPAは関税の撤廃だけでなく、投資やヒトの移動も含めた幅広い経済の連携を強化するものです。日本は現在13の国や地域と締結しており、野田総理大臣は24日に行った講演で、「高いレベルの経済連携をしっかりと張り巡らしていく」と述べ、各国とのEPA交渉を加速させる考えを示しています。
TPPとEPA
EPA交渉の開始で合意した日本とカナダ。両国ともTPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉参加に向けて、すでに交渉を進めているアメリカなど9か国との協議を始めています。
ただ、TPP交渉は、農産物や工業製品の関税撤廃などを協議する「物品市場アクセス」や、模倣品などの取り締まりを強化する「知的財産」など多くの分野で、参加各国の意見が対立しています。このため、当初、目指していた年内の妥結は難しいという見方すら出ているだけでなく、仮に日本やカナダが交渉
参加を決めたとしても、9か国がそれをいつ認めるのか、見通しはたっていません。
こうしたなか、日本とカナダは、TPPよりも先にまず2国間でのEPAの交渉を進めるべきだという考えで一致し、今回、両国の首脳が交渉を始めることで合意しました。
EPAのメリットとデメリット
日本とカナダとの貿易額は2010年でおよそ1兆7700億円で、日本にとってカナダは18番目の貿易相手国です。
日本からカナダに輸出される品目で金額が大きいのは、自動車などの工業製品で全体の76%を占めています。このうち、例えば日本から輸出される自動車には6.1%、鉄道用の車輪には3.5%の関税がそれぞれかけられており、EPAの締結でこうした関税の撤廃や引き下げが期待されます。また、日本
政府は今後の交渉を通じて、カナダ国内に豊富に埋蔵される石炭や天然ガスなどの資源について、輸出制限を一方的に行わない条項を盛り込むなどして安定供給につなげたいと考えています。
一方で、日本がカナダから輸入している主な品目は、豚肉や小麦、木材など農林水産品で、輸入額全体の46%を占めており、日本はそのほとんどに関税をかけています。EPAの締結で、これらの品目の関税が撤廃されたり引き下げられたりすれば、日本国内の生産者などが打撃を受ける懸念があること
から、交渉ではこうした品目の扱いが焦点になるとみられます。
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