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- ID:
- 23811
- 年:
- 2012
- 月日:
- 見出し:
- 国宝の石山寺本堂、倒木に危機一髪
- 新聞名:
- 京都新聞
- 元URL:
- http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20120320000046
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 現存する滋賀県内最古の木造建築物である国宝の石山寺本堂(大津市)の間近で先月、スギの大木が突然倒れた。本堂の反対側に倒れたため被害はなかったが、本堂側ならば損壊は免れず、「危機一髪のところだった」(鷲尾遍隆座主)という。本堂周囲には数十本の木があり、寺では倒木の恐れのあ
る木のリストアップを始めた。
■景観形成、伐採できず対応苦慮
本堂の南側わずか10メートル弱。直径約1メートルの切り株が今も残る。もともと高さ約30メートルのスギが立っていたが、先月2日朝、突然、根元近くから南側に倒れた。近くにいた石山観光協会副会長の徳永毅さん(71)は「風の強い日でバリバリドスンと音がして倒れた。観光客の方が周りにいなかっ
たのが幸い」と話す。
木は樹齢数十年で、戦前に植えられたとみられる。切り株をみると内部が朽ちており、庭師の遠江(とおのえ)隆行さん(53)は「何らかの原因で樹勢が徐々に衰え、風で耐えきれなくなったのでは」とみる。
石山寺本堂は、石山の地名の基になった巨岩「珪灰石(けいかいせき)」の上に建っている。周囲の斜面にはスギやアカガシなど数十本の木があるが、岩とその上に堆積した薄い土に根を張っており、樹勢の弱った木も散見できるという。
ただ、簡単に切るわけにもいかない。もともと本堂の防風林としての役割があったとみられる上、本堂の周囲に生い茂る木々は寺の大切な景観要素になっている。樹齢百年以上とみられる大木もあり、1本切るにしても一定のコストや人手が必要になる。
寺では今後、本堂側に傾いていたり、樹勢が弱ったりしている木を調べ、林業関係者も交えて適切な対策を検討する方針。鷲尾座主は「山の中の寺はどこも抱えている問題だが、国宝だけに被害を出す訳にはいかない。なにか良い知恵があれば」と話している。
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