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- ID:
- 23697
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0308
- 見出し:
- クスノキ:「立曳き」で移植
- 新聞名:
- 毎日新聞
- 元URL:
- http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20120307ddlk43040572000c.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 江戸時代から続く工法「立曳(たちび)き」によるクスノキの移植作業が、熊本市新屋敷の白川河川敷であった。クレーンでつるさず、樹木を傷めずに立たせたまま人力で運ぶ九州初の試みは成功し、伝統技術が見事に復活した。【西東靖博】
同工法はクレーンでつり上げる通常の現代工法と違い、掘削して造成した運搬路に木板を敷いて「コロ」と呼ばれる丸太を並べる。その上を元々は船を海に出し入れする時に使われた「神楽桟(かぐらさん)」という木製道具と滑車を使った人力で引っ張る技術。江戸時代から関東地方で引き継がれてきたと
いう。
移植は国土交通省の白川河川改修に伴う工事。施工業者の伊勢造園建設(熊本市、佐藤保夫社長)を中心に県内の造園業者や樹木医、学識経験者らで検討委員会(委員長=蓑茂寿太郎県立大理事長)をつくり、移植方法を協議してきた。
検討委の今江正知元熊本大教授は「木の枝を切らず樹皮を傷つけず、さらに木を寝かせずに運ぶなど樹木に優しく、そのうえ立ち姿のままで動かすので景観も保護できる」と伝統工法の利点を説明する。
移植したのは、いずれも樹齢100年のクスノキ2本。2月初めに1本、同月27日には樹高15メートル、幹周4・2メートル、重さ100トンの大木を動かした。
造園技師らが「巻いたー、巻いた」の掛け声に合わせ、2台の神楽桟を使って約3時間半かけ川岸から移植地点まで18メートル移動させた。
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