v10.0
- ID:
- 49790
- 年度
- 2011
- 月日:
- 0221
- 見出し:
- 神事の木船 半世紀ぶり海へ 本牧神社
- 新聞・サイト名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20110221-OYT8T00059.htm
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 横浜市中区に伝わる神事に使われ、半世紀前に引退して陸に揚がっていた木製船が、再びヨコハマの海へこぎ出される。氏子らの寄付で船の修復が決まり、来年8月の神事でお披露目される見通しとなった。当時木船をこいだ地元漁師らは、「復活をきっかけに神事ににぎわいが戻れば」と期待を寄せる。
復活するのは、同市中区の本牧神社で1566年から伝わるという神事「お馬流し」で使われた2隻の木船(長さ約11メートル、幅約2メートル)。
お馬流しは県の指定無形民俗文化財。毎年夏、カヤで編んだ長さ約50センチの「お馬」6体が同区本牧の町中を練り歩き、氏子らの厄が乗り移った後、船で沖に流して厄払いする。
かつてこの「お馬」は、木船に乗せて運んだ。近くの船着き場を出発し、約5キロ先の沖に流した後、氏子たちは厄が再び付かないよう、木船を競漕(きょうそう)させて我先にと浜に戻ったという。
しかし、1960年代に船着き場が埋め立てられたのを機に、木船は引退。本牧漁協の漁船が代役を務めたが、湾を行き交う船が増え、競漕も行われなくなった。最近は、漁師の高齢化で漁船を動かす人も少なくなり、神事の存続自体が危ぶまれていた。
こうした中、神事の伝統を守ろうと、氏子らが2000年から続けていた積み立てが約800万円に到達。本牧神社では、さらに寄付を募った上で、県教委から文化財保護の助成金を受ければ、木船の修理費1100万円を工面できると判断した。
昨年11月、境内に保管してあった木船を、製造元の千葉県富津市の造船所に見てもらったところ、棟梁(とうりょう)は「船底に穴が開くなど傷んでいるが、修復はできる」と回答。今年5月からの修復作業が決まった。
復活決定にかつての関係者も沸いている。
63年にこぎ手として乗り込んだという同区本牧原の漁師茅野義一さん(83)は、「満身の力を込める競漕の前には食事ができず、生卵などで精をつけた。あの木船が復活するなんて夢のよう」と目を輝かせる。当時は中学生で、浜辺で帰りを待った思い出がある同区本牧元町の須藤伸一さん(61)も、「船
首に付けた町の紋章が波間に揺れ、あの祭りの雰囲気が好きだった。早く木船を見たい」と話していた。
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