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- ID:
- 51916
- 年度
- 2011
- 月日:
- 1018
- 見出し:
- 「地域に貢献したい」 石部さん、復旧作業でUターン
- 新聞・サイト名:
- 紀伊民報
- 元URL:
- http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=219470
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 台風12号で大きな被害が出た和歌山県田辺市本宮町へ、他町に移っていたブラジル出身の日系2世、石部ジョージ巽さん(49)がUターンしてきた。元森林20+
件作業員のキャリアを復興に役立てたいと、勤めていた企業を辞めて地元建設会社で働き始めた。周囲の温かさにも触れ、あらためて「地域に貢献したい」と汗を流している。
19年前に来日。「緑の雇用事業」に応じて9年前、大阪府岸和田市から本宮町に移住した。ブラジルの田舎を感じる町が大好きだったが今年3月、補助金カットによる経営悪化を理由に森林20+ 件組合から雇用契約を解消され、作業員仲間9人とともに退職した。
石部さんは7月、那智勝浦町の水産会社に就職。単身で生活していたが、家族も引っ越す準備をしていた9月初旬に台風12号が襲来した。熊野川が氾濫し、自宅は無事だったが、町内の至る所が水害に遭った。
翌日から作業員時代の仲間と復旧作業に駆け付けた。浸水した中心街で漂着した倒木を短く切ったり、重機で廃棄処分の家電を運んだりするボランティア活動を5日間続けた。
献身的で技能を持ち合わせた石部さんらを地元は歓迎。その後、建設会社の応援で壊滅した山林で土砂崩れや倒木の処理に当たるうち「地元でもっと役に立ちたい」と思うようになった。気持ちを打ち明けると建設会社は正規採用してくれ、休職していた水産会社も転職を快諾してくれた。
再就職する建設会社は、森林20+
件組合を離れた当初、無職の元作業員らに草刈りなどの仕事を割り振ってくれた会社だった。東日本大震災の被災地支援で宮城県に物資を運ぼうとした時は、車を手配したりカンパで協力してくれたりした。水産会社も当時見ず知らずの自分にマグロ1匹を託してくれていた。
宮城県では作業員仲間と活動、その経験が本宮町での作業に生かせた。
今回の本宮町での活動を振り返り「何かしたいとみんながボランティアで集まってきてくれた。仕組みさえ整えばその気持ちを形にできるし、自分自身も災害時などにすぐに動ける環境にいたい」と話す。将来、賛同する仲間を集め、地域奉仕を優先できる規模での建設会社を設立したいと夢見ている。
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