v10.0
- ID:
- 50971
- 年度
- 2011
- 月日:
- 0711
- 見出し:
- クスノキ巨木、立ったままの状態で移植へ
- 新聞・サイト名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://kyushu.yomiuri.co.jp/nature/plantae/event/20110709-OYS8T00210.htm
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- クスノキの巨木を立ったままの状態で移植するための準備作業が、熊本市の中心部を流れる白川の河川改修現場で始まった。クレーンでつり上げる工法に比べ、樹木を傷付けず、樹形を残したまま移植できるのが特徴。国土交通省熊本河川国道事務所によると、国内でも数年に1度しか行われない珍しい
工法で、担当者は「この移植作業を成功させ、少しでも多くの緑と景観を次の世代に残したい」と話している。
樹木医らによると、江戸時代に編み出された「立曳
たてび
き」と呼ばれる工法。まず、樹木の周辺から移植先まで深さ数メートルの溝を掘って丸太を敷きつめ、樹木を滑らせながら移動させる。移植前とほぼ同じ姿・形を残すことができ、樹木にもやさしいとされる。
樹木の移植では、クレーンなどの重機でつり上げて運ぶのが一般的。だが、つり上げられる重量には制限があり、樹木が大きくなるほど、軽くするために幹や枝を切り落とす必要があるという。さらに、つり上げる部分の樹皮は傷みやすく、樹木の負担が大きいとされる。
移植されるクスノキは、同市新屋敷1の白川左岸にある2本で、高さ10~15メートル、幹回り約4メートル、推定重量約100トン。白川の拡幅、護岸改修工事のため、約15メートル移動しなければならなくなった。現場一帯の河川敷には、白川にせり出すように大きく茂った樹木が立ち並び、「森の都・熊
本」を代表する景観の一つ。景観の保存を求める声が地元に根強く、立曳き工法を採用したという。
現場には6月末、立曳き工法の実績を持つ関東地方の業者や樹木医らが集まり、クスノキの根っこや土壌の状態を確認。来年2月に移植作業に本格的に着手、3月末までに完了することを確認した。
移植作業に参加する樹木医の今村順次さん(熊本市)は「今回の移植作業の経験をもとに、この工法を九州に根付かせたい」と話した。
..