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- ID:
- 50916
- 年度
- 2011
- 月日:
- 0704
- 見出し:
- 縄文ポシェットはヒノキ科樹皮製
- 新聞・サイト名:
- 陸奥新報
- 元URL:
- http://www.mutusinpou.co.jp/news/2011/07/16927.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- これまでイグサ科の植物で編まれたとされてきた三内丸山遺跡出土の編みかご「縄文ポシェット」(国重要文化財)が、ヒノキ科の樹皮製だったことが1日までに、東北大学植物園の鈴木三男教授の調査で分かった。県内に自生するヒバまたはスギの可能性が高いとしている。同遺跡で樹皮製の遺物が確認さ
れたのは初めてで、鈴木教授は「縄文時代の樹皮製の遺物は全国でもほとんど出土例がなく、ほぼ完全な形では唯一に近い。縄文人の植物利用の文化を知る上で価値ある発見だ」と話した。
縄文ポシェットは細い帯状に加工した植物を縦横に編み込んで造形され、高さは約13センチ。1993年、同遺跡の縄文時代前期中葉(約5500年前)の地層から出土し、当時の調査で素材はイグサ科の茎である可能性が高いと判断された。
しかし昨年、県の依頼を受けた鈴木教授がポシェットの破片を使って再度分析したところ、繊維や組織の特徴が針葉樹の樹皮と一致。さらに今年5月、ポシェット本体の表面をデジタル顕微鏡で観察した結果、細胞の構造などから素材はヒノキ科の樹皮と確認された。
1日に青森市の縄文時遊館で会見した鈴木教授は「ヒノキ科の樹木の中でも、県内に自生する身近な材料だったヒバまたはスギを使った可能性が極めて高い」とした上で、「三内丸山遺跡からはヒバ製品が出土しており、木材だけでなく樹皮も活用していたとすれば、ヒバは北の縄文人にとって重要な資源だ
ったといえる」と解説。「縄文人の植物利用の文化がどのように発生し、現代にどう受け継がれてきたかを知る手掛かりになるのでは」と期待を込めた。
縄文ポシェットは9日から8月末まで、同館内のさんまるミュージアムに展示される。
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