v10.0
- ID:
- 50809
- >年度
- 2011
- >月日:
- 0623
- >見出し:
- ボラ待ちやぐら 復活だ 象徴ありますが 穴水 本物で町おこし
- >新聞・サイト名:
- 中日新聞
- >元URL:
- http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2011062202000126.html
- >写真・動画など:
- なし
- >記事内容
- 七尾北湾の波の穏やかな内浦に面した石川県穴水町で、素朴なボラ漁に使われていた「ボラ待ちやぐら」を復活させる試みが始まっている。関係者は「能登の里山里海」の世界農業遺産(GIAHS)登録と相まって、町おこしにつながればと期待。やぐらで未来への展望も開けそうだ。(宮畑譲)
丸太をピラミッドのように組んで海面から高さ七、八メートルのやぐらを浅瀬に作り、その上から網を下ろして回遊してくるボラを見張る。網に入ったところを引き上げる。そんなボラ漁が町でかつて、五、六月を中心に盛んに行われていた。
同町で最後までボラ漁を続けた谷内ふみさん(80)=同町内浦=は話す。「ボラは敏感な魚でね。船のエンジン音があったら近づかない。だから昔は櫓(ろ)をこいでいた」。海の恵みを人の手でいただく。自然と人間が共生する里海の原風景があった。
ボラ待ちやぐらの復活を目指す岩田さん=石川県穴水町で
高齢を理由に谷内さんが一九九六年にやめた後、ボラ漁をする人はいない。湾内に今も立つ「ボラ待ちやぐら」は、モニュメントだ=写真(上)。
今年四月、本来のボラ待ちやぐらを復活させようという活動が始まった。元県職員の岩田正樹さん(62)=同町新崎=が地域の人十五人を誘い、やぐらに使う木を切り出した。七月に海でやぐらを組み上げる予定だ。
「町の名物を復活したい。ボラ漁だけでなく、登るだけでも観光名所になるはず」。岩田さんは、ボラ待ちやぐらが町おこしにつながればと思い描く。
ワカメ、モズクにカキ、アワビ…魚以外にも海産物の豊富な能登半島。漁業は生活の糧を得る身近な存在だった。だが、機械化が進み、大きな漁獲高を挙げないと漁業者の生活は立ちゆかなくなった。ほかに目立った産業も少なく、若い人は地元を去っていく。
「将来は若い人に帰ってきてほしい。海で生計を立てることも、海を大事にすればできるはず」。岩田さんの活動にはそんな思いもこもる。やぐらを通じ、地域活性化へのスクラムも組まれていく。
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