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- ID:
- 50777
- >年度
- 2011
- >月日:
- 0617
- >見出し:
- 温海カブの焼き畑農法研究
- >新聞・サイト名:
- 読売新聞
- >元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamagata/news/20110616-OYT8T01052.htm
- >写真・動画など:
- 【写真】
- >記事内容
- 地球温暖化で多発する山火事からの森林再生を研究する山形大農学部(鶴岡市)のラリー・ロペス准教授(46)が今夏、鶴岡特産の温海カブができる焼き畑の土壌について、栄養分析に取り組む。江戸時代から続く伝統的な農法を科学的に分析する試みで、ロペス准教授は「世界の森林再生を研究し
た成果を鶴岡の焼き畑でも生かし、効率的で一層おいしいカブの生産につなげたい」と話している。
温海カブは、鶴岡市温海地域で、急勾配の山腹を焼き、その土地を利用して生産するのが特徴。ロペス准教授は今年4月に同学部に赴任したが、日本国内では珍しい焼き畑農法が地元で行われていることを知った。これまで焼き畑の土壌について、科学的な分析がほとんどなかったことが分かり、研究す
ることにしたという。
ロペス准教授はペルー出身で、過去にモンゴルや東南アジアで森林火災後の土壌の再生について研究。土壌成分の差によって生えやすい植物の種類を調べるなどしたデータを蓄積している。
今回の研究では、これまでに、鶴岡市上名川の同大農学部の演習林にある温海カブ専用の畑(約4000平方メートル)の120地点から、それぞれ200グラムの土を採取した。この畑で8月に焼き畑を行い、もう一度同じ場所から土を採取。焼き畑の前後で土壌に含まれる野菜の栄養分になるリンやカリウ
ムなどの化学物質がどう変わるのかなどを調べるという。さらに、温海カブに詳しい同大の別の教授らと協力して、その変化とカブの味や収穫量の関係を調べ、改善につなげたいとしている。
温海カブの出荷を手がけるJA庄内たがわ温海支所(鶴岡市)によると、カブを収穫した後の畑には木を植えて5年ほど休ませ、土壌を再生している。同JAは「植樹するのに有効な樹木の種類や焼き畑を行う間隔などがはっきりすれば、生産者にとってもプラスになる」と話す。
ロペス准教授は「これまで研究したことのある東南アジアの焼き畑と違い、収穫後に木を植えて土地を豊かにするなど、次世代のことを考えた鶴岡の焼き畑農法は非常に興味深い。ここで出会った思いがけない幸運を大事にしたい」と話している。
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