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- ID:
- 50701
- >年度
- 2011
- >月日:
- 0609
- >見出し:
- 「一本松」クローン 高田松原復活目指す
- >新聞・サイト名:
- 朝日新聞
- >元URL:
- http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000001106080001
- >写真・動画など:
- 【写真】
- >記事内容
- 津波にのまれた国の名勝・高田松原(岩手県陸前高田市)で7万本の松の木うちただひとつ残った「一本松」。根が海水で腐り始め、枯れる心配が出てくる中、枝からクローンの苗木を育てる作戦が始まった。一本松と同じ遺伝子を持つ松を増やし、白砂青松の復活を目指す。
松原は全長約2キロにわたる松林と砂浜からなる景勝地。日本百景に数えられ、震災前は年間100万人前後が訪れていた。津波でほとんどの松の幹が折れた。
クローンの育成に取り組むのは、岩手県滝沢村にある独立行政法人森林総合研究所・林木育種センター東北育種場。2003年に「林木遺伝子銀行110番」を開設。衰弱した天然記念物の木々のクローン苗を育ててきた実績がある。
震災後、一本松の存在を知った同センターが、地元住民らの「高田松原を守る会」などにクローン技術の利用を呼びかけた。4月22日に一本松の枝の穂を採取し、先端を切り取った別の松の苗木100本に接ぎ木。独自のノウハウで湿度や温度に気を配りながら、育種場で大切に育ててきた。成功すれば
、3年ほどで一本松と同じ遺伝子を持つ苗木に育つ。
接ぎ木の成否は6月中旬に判明するが、おおむね順調に育っているという。センターの笠井史宏・遺伝資源管理課長は「希望の松の遺伝子を残し、陸前高田に返したい」と話す。
守る会副会長の小山芳弘さん(59)によると、一本松の推定樹齢は260年で古木の部類に入る。この2週間ほどで、松の葉の緑色が薄くなってきている。地盤沈下で海水が浸水しやすくなり、根の一部が腐り始めているという。
「せっかく生き残ったのに、このままでは枯れてしまう」と、地元の造園業者らが根の成長を助ける活性剤を散布するとともに、倒れた松や土嚢(ど・のう)で浸水を防ぐ囲いをした。それでも満潮になると海水が地表にしみ出す。今後は、周囲に深さ5メートルまで鉄板を埋め込み、浸水を止める方針だ。
小山さんは「一本松は復興のシンボル。保全とともに遺伝子を次の世代に残し、陸前高田の市民に希望を与えてほしい」と話している。
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