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- ID:
- 50408
- >年度
- 2011
- >月日:
- 0509
- >見出し:
- 紀南の活性化に挑戦 都会の青年が転身
- >新聞・サイト名:
- 紀伊民報
- >元URL:
- http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=210056
- >写真・動画など:
- なし
- >記事内容
- 今春、和歌山県の紀南地方の活性化を目指して都会の青年2人が会社員からそれぞれ起業家、NPO職員に転身した。まちおこしに新風を吹き込むべく、新たな挑戦を始めている。
田辺 林業100+ 件再生へ起業 樫田史彦さん(27)
「和歌山は豊富な森林資源を有効活用できていない」。「林業再生」を目指し、大学時代の友人とベンチャー企業「熊野林発」を設立した。近く、田辺市新庄町のビッグ・ユー内に事務所を構える。
事業の柱は二つ。紀州材の活用と木質バイオマス事業。デザイナーや販売会社と付加価値の高い木製品を開発したり、古民家や事務所の改修資材に活用したりする。また、バイオマスの技術を検証して実用化を目指す。
出身は奈良県、大学は京都府で、卒業後は東京都暮らし。紀南との縁は大学時代のNPO活動にある。串本町で住民を巻き込んだ防災マップ作りをし、人の温かさや地域の潜在能力に触れたという。
今年3月まで4年間、消防設備メーカーで営業を担当していた。業績は順調だっただけに、先の見えない起業に迷いもあった。
「やる理由とやらない理由を挙げると同数あった。これ以上、頭で考えても前に進まない。できるか、できないか踏み出して明らかにするしかないと開き直った」と笑う。
デザイン会社やバイオマス研究者とはつながりがある。昨年から紀南の林業100+ 件関係者ともパイプづくりを進めている。「僕らは林業もバイオも専門家じゃないけれど、伝統産業と先端技術の架け橋になりたい」と力を込める。
すさみ まちおこしに一役 武田真哉さん(29)
「想像以上に過疎が進んでいる。若者の雇用の場をつくり、活気あふれる町にしたい」。すさみ町でまちおこしを進めるNPO「魅来づくりわかやま」に4月から加わった。
課題は山積している。「例えば農業。農地はあるのに農家は高齢化し、販売先も限定されている」と指摘する。しかし、秘策もある。
同町は母校の摂南大学(大阪府寝屋川市)と地域活性化で協定を結んでいる。大学の食堂で同町の産品を扱ってもらえれば販路が安定し、農家の栽培意欲も増す。大学側も作り手の見える安全な食材を安価に手に入れられる。
ただ、NPOの力だけでは実現しない。「住民理解や行政、商工会の協力が必要。地元で信頼関係を築くことから始めたい」。地場産業と消費地をいかにつなぐか、調整能力が問われる。
苦い経験がある。社会人1年目にNGOの一員としてスマトラ島沖地震の被災地で調整役を務めたが、「能力不足で迷惑をかけた」。帰国後、調整能力を高めるため、大阪の人材育成会社で5年間、企画や営業を担当。大学の恩師の紹介で、今回は満を持しての挑戦となる。
「都市と地方の交流は全国にあるが、活性化にまでつながった例は聞かない。過疎地再生のモデルとなる取り組みにしたい」と腕をさする。
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