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- ID:
- 49458
- 年度
- 2011
- 月日:
- 0117
- 見出し:
- 「大クスノキ」生まれ変わる ぬくもり残し、公園のベンチに
- 新聞・サイト名:
- 東京新聞
- 元URL:
- http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20110117/CK2011011702000018.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 樹齢三百年超ともいわれながら、樹勢が衰えたため「倒れたら危険」として伐採された「須藤公園」(文京区千駄木)の大クスノキが、生まれ変わった。木の香漂う丸太のテーブルとイス、幹の曲がり具合を生かしたぬくもりのあるベンチは、長年親しんできた周辺住民の「せめて形を変えて残して」という願い通り
、公園内のクスノキが生えていた場所に置かれた。 (井上圭子)
伐採されたクスノキは二本とも高さ約十五メートル。大人が抱えても両手が回らない太さで、古い住民には「そこにあるのが当たり前」の心強い存在だった。
「強風で倒れる可能性が高い」として区は伐採を決めたが、住民の要望を受けて区は説明会を開き、具体的な希望を聞いた。
「公園でくつろげるベンチを」「樹木の研究のため幹を分けてほしい」「子どもたちのためにおもちゃの積み木を」「葉を芸術作品の材料に」など、さまざまな意見が出た。切りたてのクスノキはにおいが強いため「切り株で作った臼で餅つきをしたい」という要望は実現できなかったが、それ以外はほとんどかなえられ
た。
直径七十センチの丸太のテーブル一つ、直径約四十~五十センチの丸太のスツール五つ、長さ約三メートルの丸太のベンチ一つは、園内のクスノキが生えていた場所に設置された。近隣に住む保育士は「保育園の子どもたちに積み木を作ってあげたい」と中ぶりの枝を、東京芸術大学の学生は「作品の
材料に」と葉のついた枝を、東大の研究者は「研究材料に」と幹に寄生したキノコ「サルノコシカケ」を持ち帰った。
残ったのは一・五~二メートル、直径約四十センチの材木三本。このうち一本は世田谷区の木材加工技術を学ぶ団体「木挽(こび)きの会」に預けて板に。残り二本も製材所で板にし、区内で銘板などに使うという。
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