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- ID:
- 49400
- 年度
- 2011
- 月日:
- 0111
- 見出し:
- 乾燥設備の導入必須 行政が支援、急速に拡大
- 新聞・サイト名:
- 秋田魁新報
- 元URL:
- http://www.sakigake.jp/p/special/11/morinokuni/article1_07.jsp
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 県産材の販路拡大を目指し製材所の大規模化を進めてきた宮崎県では、並行して人工乾燥機の導入にも力を入れてきた。
同県都城市の持永木材は、3・3ヘクタールの工場敷地に11基の人工乾燥機を設置している。今年3月にはさらに2基を増設する予定だ。持永光志(みつゆき)専務は「県外出荷した場合、乾燥材でなければ外材との競争には勝てない」と力説する。
持永木材の工場敷地内に設置されている人工乾燥機=宮崎県都城市
同県山村・木材振興課によると、県内製材所に設置されている人工乾燥機は233基で本県の1・3倍。建築用乾燥材の生産量は26万立方メートルで、実に本県の6倍に上る。
乾燥処理を施さない原材料の場合、出荷後も徐々に水分が蒸発して収縮が発生、寸法に狂いが生じる。このため大手住宅メーカーや、住宅部材を現場施工前に加工するプレカット工場では扱わないことが多い。本県が出荷額全国一を誇る集成材の原材料も乾燥材だ。
国産材はこれまで、人工乾燥への対応が進まなかった。そのため宮崎県では、県外出荷量を増やそうと、2001年から製材所の乾燥設備導入を本格的に支援。国の林業構造改善事業の交付金も活用し、導入経費やリース代金の半分程度を補助するなどしてきた。
01年に99基だった乾燥設備は年間30~50基ペースで急増した。乾燥設備の充実に伴い、それまで県内がメーンだった各製材所の出荷先は、九州各県のほか関西、首都圏など大規模市場にシフトした。製材は商社や問屋を通し、各地のプレカット工場などに提供されている。
同県環境森林部の小林重善・木材流通対策監は「乾燥材は時間が経過しても安定した品質を保つことができる。政策的に設備導入を進めたことは大成功だった」と評価する。
持永木材の場合、乾燥設備が十分でなかった00年の県外出荷額は1カ月当たり約3千万円。県外出荷の9割以上を乾燥材に切り替えた09年現在は同1億2千万円と、4倍に跳ね上がった。同社の製材は商社を通じ、山形や宮城など東北地方にも出荷されているという。持永専務は「高い品質の製材
を安定供給できれば、外材に対抗することができる」と話す。
本県でも今後、本格的な設備支援が始まる。昨年創設した農林漁業振興臨時対策基金を活用し、11年度から3年間で秋田杉集成材の原材料を生産する製材所の規模拡大や、乾燥設備導入を支援する。県林業木材産業課は「生産性の向上は喫緊の課題。大規模化や乾燥設備の充実を進めるとと
もに、販路の拡大に努めたい」としている。
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