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- ID:
- 49047
- 年度
- 2010
- 月日:
- 1209
- 見出し:
- 有機廃棄物→肥料 効率的に 加水分解装置 ヤスジマ開発
- 新聞・サイト名:
- 中日新聞
- 元URL:
- http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/economy/news/CK2010120802000153.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 木材乾燥機メーカーのヤスジマ(金沢市)は、加水分解という化学反応を起こす小規模プラントの開発に成功した。動植物が由来の有機廃棄物から飼料や肥料を効率的に作ることができるほか、薬効成分の抽出にも使える。全国の食品メーカーや農協への営業を展開。年間三億円を売り上げる新事業
に育てる考えだ。(大島康介)
加水分解は、高温高圧にした水蒸気が振動して、動植物やプラスチックの分子の結合を切断する。有害駆除された動物をこの装置で加水分解すると、肉や骨などの固形分とコラーゲン成分を含むエキスに分離される。固形分は堆肥や飼料の原料になる。獣害によって駆除が増えている自治体など有機
廃棄物を大量に扱う事業所から注目が高い技術という。
加水分解のプラントは既に他社の実用機があるが、本体だけで数億円以上と高額だった。ヤスジマは、大手電機メーカーの研究者だった環境NPO理事長の中村晃一さんと三年前から開発に着手。従来より低温低圧の「一五〇度、一〇気圧以下」で反応が起きる新しい知見を利用し、一千万~七千万
円の装置を実現した。
昨年四月に特許を取得。中村さんとヤスジマ、加水分解の頭文字を取って「NYK型加水分解装置」と名付けた。東京の商社を通じて農協への営業を図るほか、直接販売もしていく。
馬肉からハンドクリームに使う馬油を抽出するなど化粧品への展開も可能で、ペットボトルを分解することもできる。全国大手の製造業からも研究の依頼が来ているという。
ヤスジマは、従業員五十六人、売上高十三億五千万円。木材を低圧状態で熱して急速に乾燥させる「ハイエレックドライヤー」が主力。気圧調整の技術には強みがあった。安島稔社長は「加水分解のほかにも食品の真空冷却装置などにも力を入れている」と話し、事業を多角化する考えを示している。
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