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- ID:
- 49008
- 年度
- 2010
- 月日:
- 1208
- 見出し:
- 砂丘周辺の松枯れ被害深刻 夏の猛暑が影響か
- 新聞・サイト名:
- 日本海新聞
- 元URL:
- http://www.nnn.co.jp/news/101207/20101207009.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 白砂青松の景観を形成する鳥取市の鳥取砂丘周辺などの松林で、松枯れが深刻化している。今年は夏場の猛暑の影響なのか、枯死量が昨年の倍以上になる地域も。個人所有の松林は、放置された松が松くい虫の繁殖拠点となるなどの問題もあり、関係者は対応に頭を悩ませている。
赤茶色に枯れた松が点在しているのが目立つ鳥取砂丘南側の松林。砂丘の形成に必要として高度公益機能森林にも指定されている=鳥取市福部町湯山
鳥取砂丘ジオパークセンターで、砂丘の案内役を務める自然公園財団鳥取支部の神近牧男さんは9月ごろ、砂丘周辺の松林で、例年より赤く枯れる松の数が多いことに気付いた。特に、砂丘トンネルから鳥取砂丘情報館「サンドパルとっとり」までの県道沿いで枯死が目立つという。
神近さんは「松枯れを指摘する観光客の声はないが、地元の観光業者やラッキョウ生産農家からは『今年は”えらい”枯れている』『伐採したら木の始末をどうしよう』という話も聞く」と被害を訴える。
県東部総合事務所林業振興室によると、今年は夏の高温少雨で松が弱ったことが、松枯れ被害拡大の原因になったとみられるという。特に、砂地や岩場の海岸部では気候の影響を受けやすいため被害も大きく、9月末時点の市内全域の被害量が前年比65%増なのに対し、海岸部の鳥取砂丘周辺で
は約2・7倍と被害が顕著に現れている。
松くい虫防除対策で行う空中散布は、誤散布問題や人体への健康被害も懸念され、現在は鳥取砂丘東側の松林などに限定。それ以外の地域では、枯死材のチップ化や薫蒸処理などの「伐倒駆除」が主な手段になる。県東部総合事務所は12月初旬から3月末までの間、990立方メートルを駆除する
予定だが、前年度の534立方メートルに比べてほぼ倍増となる。
ところが伐倒駆除の実施にも課題が浮上。松林の所有者に同意を得て実施することになるが、所有者の所在が分からない場合も多く、手がつけられない現状もある。枯れた松は景観を損なうばかりでなく、松枯れの原因となるマツノマダラカミキリの繁殖拠点となり、被害の範囲拡大にもつながる。
林業振興室の担当者は「駆除を徹底したいが、登記簿などで所有者をたどっても亡くなっていたり、相続した人が県外などに出ていたりと、なかなかたどりつけない」と対応に苦慮している。
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