v10.0
- ID:
- 46049
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0520
- 見出し:
- フォレスター
- 新聞・サイト名:
- 四国新聞
- 元URL:
- http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/column/article.aspx?id=20100519000108
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
-
森林の魅力を再認識する季節になった。しかし、日本の林業産出額(2008年)はピークの1980年と比べて38%に落ち込んでおり、林業の事情は厳しい。
日本には、主に戦後に造成されたスギやヒノキの人工林が約1千万ヘクタールもあり、伐採適齢期を迎えているのに、林業就業者の激減と、輸入材に押されて優良な資源を活用できていない。林道整備や治山・治水など公共事業への依存を強め、さらに林業が衰退するという悪循環に陥っている。
林業再生にはどうするべきか。林野庁は3月、ドイツとオーストリアから3人の「フォレスター」を知恵袋として招いた。森をこよなく愛し、林業を熟知した専門技術者だ。
欧州の林業は強い競争力がある。日本との違いの一つは、作業の機械化によるコスト削減だ。大型機械で伐採、現場で丸太材に加工し、起重機付きのトラックで運び出すため、日本と比べて3倍程度作業効率が良いという。
しかし高知県など全国5カ所の森林を訪れたフォレスターは、すべての木を同時に伐採する皆伐方式そのものに問題があると指摘した。価値が高くなる優良な木を「将来の木」として選び出し、成長に合わせて伐採するよう助言した。
そのためには長期的な計画を立てる必要があり、森林所有者や流通業者から信頼を得られる専門性の高い人材が必要だ。作業路の整備や機械の導入だけでは、林業は再生しない。「フォレスター」という職業が、日本にも定着することを期待したい。
..