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- ID:
- 48136
- 年度
- 2010
- 月日:
- 1014
- 見出し:
- 柱時計が再び時刻む 田辺市長野
- 新聞・サイト名:
- 紀伊民報
- 元URL:
- http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=198437
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
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長野村(現田辺市長野)が1935(昭和10)年、富民協会主催の全国優良更生農村表彰で農林大臣賞を受賞した際の記念の柱時計が、同地区の町内会館に掲げられている。壊れて長年使用されていなかったが、町内会館の新築をきっかけに修理され、再び時を刻んでいる。
柱時計は高さ約95センチ、幅約36センチ。外枠は木製38件で、ぜんまい式。1時間ごとに「ボーン、ボーン」と時刻を告げる。ガラス部分には「優良更生農村表彰」「農林大臣賞」「昭和10年10月」と書かれている。
昭和初期、日本は世界恐慌のあおりを受け、恐慌に陥った。不況にあえぐ農村を救済するため、全国各地で農村経済更生運動を展開。「長野村郷土史」や「紀伊新報」(紀伊民報の前身)によると、長野村は1933(昭和8)年1月、県から経済更生指定町村に指定された。河川の護岸工事や農地の開
墾などさまざまな更生事業を実施したのが認められ、1935(同10)年10月、農林省の技師による実地調査を経て優良更生農村として農林大臣賞を受賞した。この取り組みは映画にもなり、全国に紹介されたという。
長野公民館長の西田孝道さん(68)によると、農林大臣賞を受賞した当時の経緯を知る人がほとんどおらず、柱時計は長い間針が動かなくなったまま、旧町内会館に保管されていた。今年3月の町内会館の新築をきっかけに、時計を修理。現在は多目的ホールの壁に掲げられている。
西田さんは「地元の住民でも、長野の歴史を詳しく知らない人が多いと思う。先人たちの努力があっていまの長野があるということを、もっと多くの人々に伝えたい」と話している。
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