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- ID:
- 48096
- 年度
- 2010
- 月日:
- 1012
- 見出し:
- 目指すは世界大会 前橋工、技能五輪に4年連続出場
- 新聞・サイト名:
- 朝日新聞
- 元URL:
- http://mytown.asahi.com/areanews/gunma/TKY201010090336.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 23歳までの若手技術者らが年に1度集う技能五輪全国大会に、高校生の県代表を4年連続で輩出している「隠れた名門」がある。県立前橋工業高校(前橋市石関町、飯野洋一校長)の建築研究部木工班から、今月下旬に神奈川県内である全国大会に2人の部員が出場する。部員4人の少数精鋭は「
国際大会出場」を合言葉に日々切磋琢磨(せっさたくま)を続けている。
放課後になると、校舎1階にある実習室に授業を終えた作業着姿の部員たちが顔をそろえる。建築科主任の樋口元朗(もとあき)教諭(55)が顧問を務める建築研究部木工班のメンバーだ。平日は計6時間。土日や祝日には計12時間、カンナやドリルなどを片手に実習室にこもり、木材と格闘する。
建築大工を学ぶ木工班ができたのは5年前。宮大工を目指して修業した経験を持つ元大工の樋口教諭が赴任してきたのがきっかけだった。
樋口先生が掲げる目標は「技能五輪国際大会への出場」。高いハードルを設けたのは、「同じ頂点を目指す者同士が刺激し合う環境の中で、大きく羽ばたいてもらいたい」との思いからだ。
22日から始まる全国大会の建築大工部門に出場するのは3年生の猪俣雄輔君(18)と関口達也君(18)。大工になるのが夢で樋口先生の言葉に刺激を受け、2008年春に入部した。
木工班からは07年の全国大会に、女子部員が県代表として初出場。08年も男子部員が出場したが、いずれも国際大会への切符は手に出来なかった。
09年には猪俣君が初挑戦。大会は、課題図に示された複雑な形状の木造小屋組(木造屋根の骨組み)の一部を制限時間内に制作。作業過程や出来栄えなどを競ったが、木工班初の金メダル獲得はならなかった。
2日間で計12時間という長丁場の競技に「体力と集中力を持続させるのが一番大変だった」と猪俣君。今年は関口君とともに片道1時間あまりの自転車通学を続けて持久力を高める一方、本番を想定した課題実習を休日返上でこなしてきた。
全国大会に出場する2人に、ほかの部員も負けていない。
木工班で一緒に汗を流してきた山田一貴君(18)は、実家が大工。在学中の全国大会出場はならなかったが、「卒業後も国際大会が自分の目標であることに変わりない」とカンナを放さない。
今春入学した「紅一点」の茂原千尋さん(15)は、技能五輪に連続出場している木工班にあこがれて入部してきた有望株。「先輩たちに続いて、自分もまずは全国大会に出場したい」と話す。
大会を間近に控え、初挑戦の関口君は「絶対に優勝したい」。2度目になる猪俣君は「まずは確実にメダルを狙っていきたい」と意気込む。
全国から84人が参加する建築大工部門の成績発表は25日。樋口教諭は「彼らが本来の実力を発揮できれば、(ロンドンで来年秋に開催する)国際大会出場も決して夢ではない」と期待を込める。(辻森尚仁)
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