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- ID:
- 47977
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0931
- 見出し:
- ぐんま繁盛記
- 新聞・サイト名:
- 毎日新聞
- 元URL:
- http://mainichi.jp/area/gunma/news/20100930ddlk10020210000c.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
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地域振興にも力注ぐ 地産地消の家づくり
県内の山林から切り出した木材を使う「地産地消の家づくり」に力を入れる。地元産材にこだわった住宅建築に加え、森林資源を活用した地域振興にも取り組み、国土交通省の長期優良住宅先導事業に09年から2年連続で選ばれた。
住宅の構造材には県産材を100%使い、住宅購入者には実際に山で大黒柱として使う木を選んでもらう。木材の乾燥は一般的な高温蒸気方式ではなく、くん製に似た「くん煙乾燥」という方法で時間をかけて煙で乾かす。煙には防腐・防虫効果があり、薬剤処理が不要になる。
乾燥作業の燃料は製材などで出た端材や木くず。煙からは乾燥工程の副産物として木酢液を抽出するなど木を無駄なく使い切り、コストを抑える。木酢液は地元の農家に無料で提供し、土壌改良材として利用されているという。
斉藤英之社長(54)は「住む人のための家づくり。安全で安心、長く住める家にしたい」と話す。
先代の父が約50年前に沼田市内で林業を始め、斉藤社長も物心がついたころから山に行った。それだけに地元の山や木に対する思い入れが強い。「日本は森林国なのに国産木材は価格が低迷し、外国産に押されている。木が使われず、手入れができない森林は崩壊してしまう。森林を健全にすること
が豊かな環境を残すことになるので、県産材を使うようにしている」
また木材を切り出した山林の所有者を上棟式に招待して住宅購入者との交流を図るなど新たな取り組みを始めた。山林所有者にとっても購入者の顔が分かり、「山の手入れの励みになる」と好評だ。住宅購入者が森林や農業、環境を身近に感じ、自分の家への愛着を深めてもらう狙いもある。
「森林の現状や県産材を使う意味についての一般の理解はまだまだ。もっと広めていきたい」。誰でも参加できる木材や家づくりの勉強会を開くなど、積極的な情報発信を続けている。
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