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- ID:
- 47694
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0913
- 見出し:
- 花粉の出ないスギ開発進む 来春試験植樹
- 新聞・サイト名:
- 紀伊民報
- 元URL:
- http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=196683
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 和歌山県林業試験場(上富田町)は、近年の花粉症患者増加に対応するため、「精英樹」と呼ばれる優れた形質の木を使って花粉の出ない無花粉(雄性不稔)スギの開発を進めている。現在、挿し木して作った苗木が30センチほどに育っており、来春、試験的に山へ初めて植樹する予定。担当者は「今後
、材木としての価値を確かめ、早期の実用化を図りたい」と話している。
試験場では、紀州産の無花粉スギと花粉量が通常の1%以下の少花粉スギの開発研究を2002年度から続けており、08年度から苗木の育成に取り組んでいる。
無花粉スギの苗木は、紀州産の精英樹の花粉を富山県森林204件研究所に送り、同所所有の無花粉スギと受粉させた種を植えて育てたもの。1回目の交配では無花粉にならないが、さらにその苗木同士を受粉させると4分の1の確率で無花粉スギができるという。発根率は99%でこれまでに約600本の
苗木を確保しており、さらに増やして精英樹を選抜していく。
少花粉スギは、岡山県産と兵庫県産の苗木を使って挿し木をしている。発根率は6割程度で、発根率向上と成長のばらつき防止が課題となっている。少花粉スギの材木としての性質は、すでに他府県で評価されている。今後、紀州産との交配がうまくいけば徐々に切り替えたいという。いま植樹できる苗木は
200本ほどある。
今回はマイクロカッティングという挿し木方法を取り入れており、通常の穂木の半分の7センチほどに切って使っている。数多くの穂木が採れる上、生育場所を取らないメリットはあるが、穂木が小さいため、挿し木するのに手間が掛かるという。
スギは樹齢25年ごろから花を咲かせ、同30年ごろから数十年間活発に花粉を飛ばす。住宅の柱などの材料として使いやすい太さになるのは樹齢40~50年で、林業の重要な資源になっている。県内には約21万ヘクタールの人工林があるという。
担当者は「今年から少花粉ヒノキの研究も始めた。材木としての価値を考えないといけないため、スギ、ヒノキとも長いスパンの研究が必要」と話している。
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