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- ID:
- 47659
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0910
- 見出し:
- 「村元気に」パン屋奮闘
- 新聞・サイト名:
- 朝日新聞
- 元URL:
- http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000001009090002
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 清川村に小さなパン屋がある。県内唯一の村の良さをアピールしようと開発した特産のお茶を使ったパンが好評で、村の元気が少しずつ広がりそうだ。 2畳にも満たない売り場の奥。すれ違うのも窮屈な作業場で、少し緑がかったパンが焼き上がった。清川村煤ケ谷の手作りパンの店「HEAVEN」(ヘヴン)
の主力商品の一つ「大納言茶ブレッド」だ。
生地には村特産のお茶を石臼でひいた粉が練り込んである。ほんのりとしたお茶の香りと苦み、それにあずきの甘さが好評で、県北西部地域の特産品「やまなみグッズ」にも選ばれた。クロワッサンやコッペパンと、「お茶のパン」のレパートリーはさらに広がった。「元気がない村をPRしたかった」と店主の城所
照彦さん(39)。生まれも育ちも清川村だ。
自分でれんがを積み上げて造った石窯で、店の目の前に連なる丹沢の間伐材を燃やした余熱でパンを焼き上げる。手入れがされず荒れた人工林も目立つ丹沢。知人らが持ってくる間伐材を燃料にしているのは、「山のお掃除の意味もある」と城所さん。火を長時間安定させるのは手間がかかるが、表面
は香ばしく、中はふっくらと焼き上がる。
勤めていた厚木市内のパン店が閉店したのに合わせ、6年半前に自分の店を持った。場所は観光地の宮ケ瀬湖へと続く幹線道路から脇道にそれたところ。住民以外に人通りはほとんどなく、客はこなかった。パンを車に積んで村内を走り回り、「一軒一軒インターホンを押して回った」という。
配達の途中で立ち寄るドライバーなど常連もでき、店の評判は口コミで少しずつ広がった。まだまだ経営は苦しいと言うが、城所さんは「イベントにもどんどん出店して村をアピールしたい」。焼きたてのパンと同様、夢も熱くふっくらだ。
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