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- ID:
- 47465
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0827
- 見出し:
- 玄界灘の原始林 沖ノ島 3)林床
- 新聞・サイト名:
- 朝日新聞
- 元URL:
- http://mytown.asahi.com/fukuoka/news.php?k_id=41000001008260001
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 多彩 虫たちの世界
沖ノ島の標高70メートル以上は、タブノキなど照葉樹の自然林で覆われている。タブノキの葉などを食べ「寄主植物」とする昆虫のタブグンバイ、ミスジマルゾウムシたちは、食料の尽きる心配がない。
森林の樹下にできる「林床」には低木や草、小動物が独特の生態系をつくる。落ち葉が朽ち、土になり、菌類が生き、それを食べる昆虫などがいる。ウシカメムシはセミの卵を食べるらしい。
しかし、昆虫班の九州大名誉教授、三枝豊平さん(73)は「下層植生が貧弱だ」と感じた。落ち葉で埋まるはずの地面がむき出しになっている。集団繁殖するオオミズナギドリの影響があるようだ。
三枝さんの専門は小さなハエの仲間。草むらで捕虫網を振って採集し、夜は発電機で電灯をつけ、ガも捕まえた。
「昆虫は種類が多くて、すぐには名前がわからない。哺乳類、鳥類に比べて研究が遅れている。学校にたとえれば、まだクラスに何人いるのかわからない状況」
山梨県出身の三枝さんは高校生時代、甲府市の山中にいた珍チョウ、ホシチャバネセセリの幼虫が何を食べるのかを調べた。アマチュア研究家の指導で、さなぎを九大の著名な研究者に送ったのが縁で九大農学部に進学した。
今回の調査中、沖津宮近くの湿潤な森林にあった朽ち木で、ハラスジケヅメカが羽化していた。オスの交尾器の形状から、沖ノ島のケヅメカは、九州よりも北海道や沿海州の種に近いという。
「沖ノ島は大陸と密接な関係がある。最終氷河期の海面が下がった時代に、朝鮮半島から渡ってきたのでしょう」
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