v10.0
- ID:
- 47153
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0807
- 見出し:
- クマの森すくすく ドングリ結実、熊棚も
- 新聞・サイト名:
- 朝日新聞
- 元URL:
- http://mytown.asahi.com/hyogo/news.php?k_id=29000001008070001
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- ツキノワグマなどの野生動物が生息できる豊かな森をつくろうと、高砂市の主婦、水野百合子さん(60)が中心になって自然保護団体「大地の輪ネットワーク」を発足させて10年。県北部の奥山に植えた広葉樹の苗木が育ってドングリなどの実をつけ、クマが木に登って食べた跡が見つかるなど、森づくりの成
果が出始めた。(平賀正弘)
水野さんは、野生のクマが人に危害を加えるニュースを見て心を痛めた。クマなどが里に出没するのは、スギなどの人工林が増えて、えさが豊富な広葉樹林が減っているからだと考え、自然保護運動の仲間たちに呼びかけて会を発足させた。
森づくりは2000年12月、朝来市奥田路のスギ伐採跡の植樹から始まった。約20人の会員らが地元の森林組合などの協力でコナラ、ミズナラ、クヌギなどの苗木約200本を植えた。芽や葉をシカなどに食べられないように、1本ずつに防護ネットを取り付けた。
植樹は年2回程度続け、面積は3ヘクタールに広がった。植樹のほか、下草刈りや防護ネットの補修、ドングリを採集して苗木を育てるなどの世話が必要だ。活動費は会費のほか、企業などの賛助金、県の補助金などでまかなっている。
最初に植えた木は高さ5、6メートルに育ち、森になりつつある。昨年12月、その中の1本の幹にツキノワグマが木から下りる時に付けたツメ跡が見つかった。クマが木に登ってドングリを手繰り寄せようとして枝が折れた跡も見つかった。枝が折り重なって鳥の巣のようになったものは「熊棚」と呼ばれる。
この地区以外にも、03年から養父市鵜縄で約3ヘクタール、08年から朝来市和田山町竹ノ内で約1ヘクタールの森づくりが進んでいる。これら3地区の計9500本の苗木が成長すれば、20頭近いツキノワグマが生息できる森になるという。水野代表は「あと何年かかるかわからないが、すべての命を育む
豊かな森にして地元へ返していきたい」と話す。
県森林動物研究センター(丹波市)によると、県内のツキノワグマは約200頭。稲葉一明・同センター森林動物専門員は「熊棚はクマがえさ場として活用していることを示し、森づくりはクマの保護対策として評価できる」と話している。
..