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- ID:
- 47033
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0730
- 見出し:
- 太古解析:恐竜博物館の研究者たち 珪化木に魅せられて /福井
- 新聞・サイト名:
- 毎日新聞
- 元URL:
- http://mainichi.jp/area/fukui/news/20100729ddlk18040562000c.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
-
主任研究員・寺田和雄さん、国内外で植物化石調査
「恐竜にせよ、ほ乳類にせよ、動物は植物を食べないと生きられない。植物はそれほど重要なのに、注目されていません」。県立恐竜博物館で古植物学(木材化石)を研究する主任研究員、寺田和雄さんが苦笑いする。
環境が変化して植生が変われば、餌を失った草食動物が死に、続いて肉食動物も死ぬ。「植物は何でも、動物より一歩先を行っています」と寺田さん。そんなに重要な植物研究だが、一方で植物化石の研究者は、本腰を入れている人は国内でも10人ほどという。さらに植物研究は、花粉、葉、幹など部位
ごとに分かれ、特に幹(木材)を専門にしているのは「私の指導教官と私の2人だけ。次の世代もいない」という状況だ。
研究対象は幅広い。国内では、勝山市で出土する恐竜時代の木材化石以外に、国内各地で多く産出される木材化石「珪化木(けいかぼく)」を研究。内部構造から樹種を特定し、かつての気候や植生を調べている。
海外ではチリの木材化石で共同研究を進める。かつて地続きだった南米と南極が白亜紀終盤に離れ、寒冷化する中で、南極の植生が南米で北上していく様子などを現地調査している。
大阪府出身。小学生のころ、父が買ってきた珪化木に「何で木が石みたいになって固くなるんやろ」と魅せられた。高校生のころ、「地層中の花粉を調べることで環境変動が分かる」という雑誌の記事を読み、「花粉について研究したい」と進学先を決めた。大学院から木材化石研究の道に進んだ。
寺田さんの研究室の机の横には、1冊のファイルがある。「僕が何のためにここにいるのかを、思い出す材料にしています」。ファイルには、大学の助手や博物館の学芸員に応募しては落ち続け、その度に受け取った不採用通知16枚を保存している。落ち込んだ時期もあるが、最終的に今の職を射止めた 「僕が採用されたのは、たまたま運が良かっただけ。そういう世界に自分がいるということを肝に銘じるために、大切に取っています。夢がかなった以上、その夢をどないかして次の世代に伝えるだけの仕事は、せないかんなと思っているんです」
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